オリンピックと戦争
★★★★☆
デビュー作からの、大石ファンですが、今回はある程度巻数が揃ってからと思って買い控えていました。
バンクーバーオリンピックでの韓国と日本の結果の違いが大きく報道される時に、読み始めましたので
国の思想、理念の違いが、小説中の戦争にも反映されたようで、感心しています。
キムヨナに熱狂する韓国軍人や市民の姿や、国母選手のプレーに関係ないところにこだわり続ける日本人の
姿が頭の中にある状況で、この本を読むと、なんともいえないフィットを感じます。
最近の世界の戦争(紛争)の傾向、韓国の指導者の末路、日本の指導者のイメージ、地方都市の官庁など、
相変わらずの大石さんの筆力を感じ、さて、どうゆう結末にと期待が膨らみます。
ヘリ空母「おおすみ」「ひゅうが」をテレビや雑誌で見る度に感じる、二つの相反する感情
「かっこいいぞ、強いぞ」という子供じみた高揚感と
「これでいいのか、戦争をするのか?」というおっさんじみた悲壮感(嫌悪感)。
今回のシリーズにも二つの感情を感じながら楽しませてもらっています。
続巻期待です
韓国軍の対馬上陸
★★★☆☆
韓国が対馬に上陸して占領する。
「まさか」と思う方も多いと思いますが、現実にありえない事ではありません。
戦争とは、国益と経済的な対立が原因となるが、究極的にはやはり極めて情緒的な対立から生じる事が多いものです。
第二次大戦の原因を求めた場合は、日米の中国権益の確保やアメリカの第二次大戦への本格的な参入計画が理由とされる事が多いが、しかし当時のアメリカのアジア政策の専門家の多くは日本との戦争に消極的でした。
何故なら、日本を叩いてしまった場合は、当時、日本が辛うじて抑えていたソ連の南下が勢いづく事になり、それをアメリカ自らが成す場合は、対日戦争勝利で得る利益より遥かに大きな負担を背負う事になると分析していたからです。
それでもルーズベルトが対日戦争に望んだのは、究極的にはアメリカの白人たちの有色人種への偏見ではなかっただろうか?
そのような極めて感情的な対立は、どんなに否定しようが人間の本質に基づくものであるから、決して外すことはできません。
本書「対馬奪還戦争」にも書かれていますが
近年の韓国は、陸軍力よりも海軍力や空軍力の増強が著しく、これは明らかに日本を仮想敵国と位置づけています。対中国や対北朝鮮より、対日戦略の増強
それもほとんど海洋領土を保有しないにも関わらず、大規模な揚陸艦の配備など、日本への侵攻を想定しているとしか思えない戦略を練っています。
これは戦後、国民のフラストレーションのはけ口として続けた反日政策が、もはや韓国政府自身も抑えきれなくなっている事実があります。
日本が朝鮮半島再侵攻する意思も能力も保有していない事は、本当のところ韓国政府も国民自身も理解していましたが、それでも日本が敵との妄念はもはや抑えられないのです。
そもそも政府を構成する政治家や官僚も国民ですから、国家の大多数が妄執を抱いた場合は、政府自身それに染まってしまい、自ら始めた空虚なフィクションを信じ実行に移すようになるものだからです。
対馬に関しても、韓国の初代大統領・李承晩が、韓国も戦勝国としての権利があるとして竹島と共に対馬の割譲を連合国に求めたが、連合国がそれを無視した事が対馬領有論の始まりです。
収まりきらない李承晩は、サンフランシスコ講和条約後、さすがに多数の人間が暮らす対馬への侵攻はアメリカも容認しないと行いませんでしたが、竹島を占拠してしまった
これが現在にまで続く竹島問題の始まりです。
韓国はこの事実を否定し、六世紀の記録を論拠に主張するが、しかしそれらの記録はどう見ても他の島を示す記録であり信用に足りません。
韓国が対馬侵攻を言い続けている以上は、何れ国民を抑えきれなくなり現実に始まる可能性は充分にあります
残念ながら、現在の日本政府にいまの韓国の対馬領有論などを押さえる気概もなく、このまま韓国の妄執が膨らめば対馬侵攻が現実になる事は否定できないでしょう
そのことも理解の上で本書を呼んでください
ちなみに、星が少ないのは、正直に言って、政治と軍事に関しての分析があまりにもお粗末だからです。
大石氏は軍事関連の小説を数多く書いているにも関わらず、軍事知識は乏しいですね。
韓国の主力戦闘機のKF16に関する記載もどうにも納得ができないものだ
大石ワールドの既定路線、でしたね。
★★★★★
サイレント・コアシリーズ(+UAMシリーズ)は殆ど全巻読んでますが、「北方領土」の次に対コリア戦、というのはやっぱり既定路線でしたか。
ただ、「竹島奪還作戦」と思いきや、対馬に持っていったのは意表を突かれました。確かにあそこは、サイレント・コアが粘って、政治家が動いて、
というパターンが非常に馴染む絶好の舞台です。さすが大石ワールド、いうところですね。
冒頭の「竹島(独島)先制攻撃」の謎ときと絡めて、今後の展開がワクワクするところです。ただ、「魚釣島」を読んでいると、なんとなく展開
の伏線が見えてくるのは自分だけ? 大石流の「流石オチ」を期待します。特に、対馬より「竹島(独島)」の状況帰着に興味深々。
「お約束」のロマンスも概ね見えてるけど、あとは、二巻で出現するらしい、「(大石氏が立ち直れないほどの)大ポカ記述」を読むのと、その
顛末を修正するのか、それともこのシリーズではとりあえず押し通すのか。興味は尽きません。
「対馬は2〜3巻、それ以上は“敵が保たない”から書きようがない」そうですが、次はいよいよ、半島で人民軍か、それともアフガンか、大穴
狙いで「沖縄米軍基地“同盟破棄紛争”」か。政治的状況の勉強にもなるあたり、「サイレント・コア」シリーズは、「第二次湾岸戦争」以来、
「平成のゴルゴ13」になってきましたね。(ってか、ゴルゴ○○は、「首相専用機」で既にインスパイアされたけど…)
早く次を
★★★★★
スカッーっとする展開です!
このまますんなり勝ち戦になる筈はありませんが、展開が楽しみです。
早めに次を出版いただければ幸いです