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メリーゴーランド (新潮文庫)

価格: ¥662
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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著者の思いを体現できていない ★★★☆☆
主人公は、市役所の一職員
ある地方イベントの推進役を引き受けることになる
障害となるのは、役所体質、昔の仲間、
そして変わることのできない自分自身だ

その昔の仲間が、時々鋭いことを言う
まるで著者の思いを代弁しているかのようだ

  「他人にズズンとモノを伝えたかったら、
   自分の血の最後の一滴まで絞り出す。
   そうしなくちゃ、人の血を騒がすことなんてできねぇ」(P171)

  「目的はなんだ。お前が自腹を切って人に見せるのか?
   そうじゃないんだったら、まず個人的な趣味は捨てろ」(P182)

  「どっちもって発想がだめなの。男も女も、老いも若きも、
   そういうのはだめさ。誰もが好きっていう毒にも薬にも
   なんないモノには、たいしたモノがないの。狙いは絞んなくちゃ。
   投網じゃないんだから」(P311)  

・・・・・・・・・・・・・・・・・
平凡づくしの状況設定で、ぐいぐい読ませる小説に仕上げるには
掘り下げた人物描写や、緻密な物語設定が必要だ
しかし残念ながら、この小説には どちらも足りていない..

ステレオタイプの登場人物も、周到に張ったつもりの伏線も空回りしている
著者の思いを体現できていない かわいそうでならない
本当の公共利益とは? ★★★★★
非常に読みやすく面白い本です。しかし書かれている内容は非常に重く考えさせられるものです。ここでは地方公務員を題材にして、川上が考える「公共利益」と我々川下が望む「公共利益」のギャップを面白おかしく描いています。しかしこれは公務員に限ったことではなく、私が勤める民間企業でもありえる話です。会社の利益になると思って頑張っている仕事に対して、上司の個人的理由で否決されそうになる事はよくあります。「世間の常識が社内の非常識」というやつです。社外交渉よりも社内調整に神経を使っている事実にため息を漏らすこともあります。でもどこの会社も同じことの繰り返しなのかもしれませんね。本書を読んでちょっと元気になれました。
「ほろ苦くて、爽やか」そんな感じの本です ★★★★★

それにしてもこの作者はラスト辺りが本当にうまい!
タイトルと、夜風と星が肌に感じられそうなラストシーンです。
胸がほろほろと落ちていくような、「柔らかく、切ない」ですな。

主人公は地方公務員、市役所務め。
市のお荷物レジャー施設、「アテネ村」の促進係りとして、委託会社に出向になったばかりです。
この委託会社は市役所の天下り先、じじいの巣窟なわけです。
ここでの会議は、もはや滑稽と書くのもおこがましいほどの派閥会議。
皆さん地元ネットワークに踊らされている感じです。

さて、そんなステージで主人公は救世主のごとく、「アテネ村GWイベント」を『去年と同じくらい盛り上げる』大役を仰せつかるわけです。
しかし、昨年を踏襲した企画に一味加えるように指示があったところから始まって、さまざまなネットワークを使った主人公は、イベントとしては救世主のような、市役所員としては左遷必至な方になっていきます。
ここで劇団ふたこぶらくだ団長、来宮(らいみや)の話す言葉は、どれも含蓄に満ちています。
『豆男』の話なんかは背筋に衝撃が走るくらいのショートです!

イベントも大成功、順風に見える主人公のサイドにいくつか落ちる不安の影。
妻路子の外出、部下徳永の通院、市長の横暴なまでのエネルギー。。。

市長選挙の結果、結果的に主人公は新たなステージで働き始めることになるのです。
どう考えてもHAPPY ENDになりそうにない流れの中、主人公は家族を連れて、自分が企画した「日本で一番緯度の高いメリーゴーランド」に向かいます。
イベント設営を手伝ってくれた暴走族の激励、部下柳井からそれぞれのエールがあり、物語は小さな、とってもささやかなフィナーレを迎えます。

もう最後の4ページくらいは胸をかきむしりたくなるようなこの話!
おススめです!
「ジョウシキ」の中で ★★★★☆
役所勤めの方は共感することが多いのかなぁ、なんて思いました。

激務を強いられる会社を退職し、今は地方公務員として働く主人公。
「小心者」と(愛情をもって)言われながらも妻と子どもに囲まれ、なんとなくこのままでいいのかなぁとも思いつつ平和に暮らしていた。

そんな折、赤字テーマパークの再建を任されることになり…。

癖のある登場人物がうまくつながり合い、結果を出していく様は「神様からひと言」にも通じるけれど、こちらは舞台がテーマパークという「イベントもの」なのでよりシンプルに感じられる。

そして、決して「大成功だバンザーイ!!」と必要以上の大団円にならないあたりも同じで、このあたりが好感を持てるところ。
ちょっと寂しさを残しつつも、ラストのさわやかさが印象に残った。

見どころは中盤の暴走族や怪しい劇団やプライドの高いデザイナーたちの絡み合いかな。

「千年先まで、そうしてろ」というセリフも良かった。
お役所仕事に革命を ★★★★☆
話の内容はなかなかおもしろかったが、どの問題も案外すんなり片付いてしまい、イマイチ物足りなかった。理事長たちとのやりとりや、子供の徒競走のグループ分け等、リアリティがあってよかったと思うのだが、アテネ村のゴールデンウイークイベントについてはなんとなくご都合主義のような感じがした。結局、新しい市長によってアテネ村は閉鎖されることになるのだが、市長の鶴の一声にももう少し抵抗するなどの展開を見せて欲しかった。