有意義な内容
★★★★★
とても読みやすく、与謝野さんの生い立ちや選挙運動について、政界の裏話、現在のガタガタの民主党政権に対する予言をしていた様な内容もあり、とても面白かった。
この著書からも本当に謙虚で実直な方ということがわかりました。
どうして対米戦争に突入したか?
★★★☆☆
全体的には、まあまあの主張をされていますが、肝心な部分の掘り下げが、今一歩の為、パンチにかけてしまいました。政治家として、日本のかじ取りをなさるなら、一番困難な状況でも、柔軟な思考力を失わず、しなやかに、したたかに、動かなければならないはずです。
この本で、一番困難な状況に触れている部分は、対米戦争に突入しようとしている昭和10年代に触れた部分。(P136、138)当時の政府首脳部が、学校秀才と温室育ちで固められ、柔軟性も真の覚悟も欠落していたと、たぶん、おっしゃりたいのだと推察します。ここ何年か、政府首脳部がそんな状況に陥っているようにも見えます。
この意味で、著者ご自身は、東大を出たけれど単なる学校秀才でもなく、政治家として温室育ちでもない事を、多くのページを割いて語られているのでしょう。堂々たる政治家の資質があるようにも見受けられますが、読者に訴えるには、この昭和10年代についての見解を、もっと詳しく、堂々と主張なさるべきだったと思います。
(参考:「誰か戦前を知らないか」山本夏彦著、1999年、文春新書。「現代家族の誕生」岩村伸子著、2005年、勁草書房。「家族と幸福の戦後史」三浦展著、1999年、講談社現代新書。「日本辺境論」内田樹著、2009年、新潮新書。)
割とましな政治家だと言う印象は持ちましたが、本当に混迷の度合いを深めてきている今、真に求められる政治家なのかどうか、今一つ、判断しかねます。
バランス感覚の優れた政治家
★★★★★
著者は安倍、麻生に比べると地味な印象を受けるが、それは本書から
著者が他の政治家やグループから適度に距離を置き、あらゆる政策を
一歩離れた位置で冷静に観察しているからだと分かる。
本書の注目すべき内容は2点、1点目が小泉から福田までの近年の
永田町周辺の状況、2点目がそれに関連した財政問題他の著者の立場と
提言である。
1点目は小泉、安倍らの著者の評価が面白い。他に中曽根ら大先輩も
出てくるが、著者は彼らの優れた資質を評価しつつも、ベタ褒めせず
悪い所は比較的明確に指摘している。
小泉構造改革についてはあの時点では正しかったと自己肯定して
いるが、その後の極端な市場原理主義な論調は非難している。
財政改革に関しては他国に比べ役員の数が少ないことや霞ヶ関埋蔵金の
中身が家計で言う保険料のようなものと指摘し、「無駄を省き、経済を
順調に成長させ、埋蔵金を活用すれば増税せずに財政の赤字解消は可能」
という上げ潮派の主張を「主婦が旦那が重役になるという前提で借金する
ようなもの」と酷評している。
特に財政再建問題に関しては家計に置き換えたり大まかな実際の数値を
出して説明されているので、この部分だけでも本書を読む価値は十分に
あると思う。
7転び8起きるの人生を見る
★★★★★
いつも決して物怖じせず、いうべきことを言われている政治家の御一人だと思います。本書表紙にも、私の仕事は耳のいたくなることをいうことであるとあるが、現在そのような役割をきちっと果たしていらっしゃるように本書を読んでも感じました。
本書に、7転び8起きるの人生という項目があるが、厳しい選挙戦で当落を繰り返していらっしゃる。病気にも打ち勝ち、現在大役をお勤めになられているようすが伺われる。
理性と世論
★★★★★
政治家の与謝野馨氏の書物です。
市場原理主義を批判し、消費税10%を訴える内容となっています。
与謝野晶子の歌を引き、戦後平和主義民主主義の重要性をときます。
「人間の理性」を信用することを主張し「世論」を批判しています。