かつて出版された『見ておもしろい星雲星団案内』(大野裕明さんが執筆された)以来のスケッチアルバムで、こちらはメシエ天体をすべて網羅しています。ハワイのキラウェア火山にほど近い土地を買い求め、口径4インチ(約10センチ焦点距離500ミリ)F5の屈折望遠鏡を使ってのスケッチブック。2本のアイピース、倍率は23倍と72倍。肉眼によるスケッチがいかに大切であるということを、改めて認識することができます(この手の学問で必要な観察眼が養われる)。
各天体には詳細なデータと、(これが一番興味深かった)メシエが初めてその天体を観測した当時のコメントが掲載されていることでしょう。
余談ですが、作者のオメーラ氏は1985年にハレー彗星の回帰を最初に発見し、ボイジャーが発見する以前に土星のBリングにあったスポークに気づき、天王星の自転周期を最初に確定された方です。
大判でハードカバー。星空の下で見るには荷物になってしまいますが、曇った日や寝る前のひとときに眺めていると、いつしかメシエが眺めていた当時を思い起こさせるかもしれません。読み物としても内容が濃く、これを超える出版物はないでしょう。