御厨氏が中心となって行っているオーラルヒストリープロジェクトの一冊。石原信雄氏は自治事務次官を経て官房副長官として竹下内閣からはじまって村山内閣の半ばまで仕えた。政界激動のこの時期に石原氏が副長官でありつづけた理由は"継続性"の維持であり、細川内閣、村山内閣といった連立、変革の時期ですら実際の行政事務を遅滞なく行うためには石原氏が残ることが必要だったのだ。そう言えば最近、石原氏の後を受けた古川現官房副長官が在任記録を更新したらしいが、政治が官僚をますます頼りにしているという意味だろうか?
そうした内情を石原氏が語るのが本書であるが、行政の事務方トップから見た日本政治がわかって興味深い。やはり政治家の意思と熱意によって大分官僚サイドの補佐のスタイルも変わるということがわかる。また意外とあからさまに政治家の月旦もなされている等エピソード類も豊富。