モノが語る、ドイツの文化と精神
★★★★☆
ドイツの生活文化について
生活文化史、物質文化史的角度からアプローチした本。
具体的にとりあげられている「モノ」は、
指輪、鍵、マイセン磁器、コーヒー、ソーセージ、
テディベア、くるみ割りにんぎょうに、車、飛行船などなど。
それぞれに見られるドイツ精神、文化的背景が興味深かったです。
ドイツのマイスター制度についての説明もあり。
個人的に、特によかったのは、「モノから見たグリム童話と伝説の世界」の章です。
白雪姫の鏡、いばら姫の糸つむ、笛吹き男の笛、魔女などがあげられています。
シンデレラとハシバミの木、ゲルマンの樹木信仰については
これまでにもドイツ文学者の野口芳子さんがとりあげているものの
他には取り上げている研究者を知らなかったため、興味深かったです。
ドイツ精神について
★★★★★
今ワールドカップでドイツが注目されているので読んでみた。モノからドイツの精神を見るという視点は、新鮮な印象を受けた。特に指輪、カギの話、ドイツ人のプレゼント好きの理由は面白い。また、マイスター制度の仕組みや職人の遍歴修行がドイツ文化に与えた影響は大きいことがわかった。
ドイツ製品という記号
★★★☆☆
「ドイツ製」と聞くと、確かに「粗野ではあるが、壊れにくく、使いやすい」というイメージか。様々なモノから解き明かすドイツ文化。鍵や紋章を論じた箇所が、興味深かった。しかし、後半の「ツェップペリン号」「戦車」「ロケット弾」「メルセデス・ベンツ」「アウトバーン」などの説明には、正直、少し辟易した。