琳派
★★★★☆
俵屋宗達・尾形光琳に続く琳派の巨匠・酒井抱一。
といっても、この画集には琳派らしい豪華絢爛な装飾性あふれる絵は少ない。浮世絵美人画や大和絵まで並んでいる。それは、多種多様な画業が彼の特徴であるからだ。だから、谷文晁の影響が見られる画や、若冲の影響が見られる画まである。
また、金を巧みに使うのが光琳であれば、抱一は銀を巧みに使う。銀箔を全体に貼った『紅白梅図屏風』の重厚さは見るものを圧倒させ、『月に秋草図屏風』の銀色の月は失われた風流と微かな孤独を感じさせる。月光を暗示させる銀こそが、この画家の魅力だと思う。
この画集には抱一の主要作品が32枚載っていて、抱一を知るには非常に適していると思う。