LaTeX本「二冊目」はこれ、かな
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現在日本語で読むことができる LaTeX の入門書として最も有名、かつ最も他人に薦められるのが、奥村晴彦氏の『LaTeX2ε美文書作成入門』であることは疑う余地がないだろう。あまりに有用性・評価共に高いので、LaTeX を扱った本として他の本を知らない、という人すら、私の知人には存在する。
しかし、plain TeX 解説本の決定版として TeX の作者 Donald E. Knuth の "The TeXbook" があるのと同じように、LaTeX 解説本として LaTeX の作者 Leslie Lamport が著したのが "LaTeX: A Document Preparation System"、つまり、本書の原著である。この本以前には LaTeX の解説本というのは存在しなかったのだ。
本書に書いてあることのほとんど全ては『LaTeX2ε美文書作成入門』で知ることができる。しかし、本書には Lamport しか書き得なかったことがちゃんと書いてある。それは、マクロとしての LaTeX の脆弱性であったり、エラーメッセージへの実践的な対処方法であったりする。そして、『LaTeX2ε美文書作成入門』が肥大化した現在、この Lamport 本の方がよりコンパクト、かつ実践的な LaTeX の入門書の体裁を持つに至ったのだ!つまり、『LaTeX2ε美文書作成入門』を持っている人にとっても、この Lamport 本は、持つ価値のある本だということである。『LaTeX2ε美文書作成入門』をお買いになった後、LaTeX の本を買われるなら、この本を買われることをお薦めする。