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梶原一騎伝 夕やけを見ていた男 (文春文庫)

価格: ¥494
カテゴリ: 文庫
ブランド: 文藝春秋
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苦悩やコンプレックスのエネルギー ★★★★★
 梶原一騎の苦悩を描こうとした力作です。

 父から救護院に「捨てられた」事。
純文学者を夢見ながら、食っていく為に劇画原作者に甘んじなければ
ならなかった事。

 デビュー当時、劇画原作者としてマンガ家より一段下に扱われた事。

 『あしたのジョー』の大ヒットはちばてつやによるストーリーの改良
あってこそだった。自分の才能だけではなし得なかったというコンプレックス
の反動から、以降はマンガ家によるストーリーやセリフの修正を絶対に
認めなかった事。

 多作による才能の枯渇。
作品が格闘技+暴力団のワンパターンになっていった事。

 梶原一騎のカネに群がる人間に祭り上げられ、裸の王様化していった事。
親子の確執。弟真樹日佐夫、空手バカ一代大山倍達との確執。

 梶原一騎の栄光の陰の部分をていねいにたどっています。
『あしたのジョー』『巨人の星』『タイガーマスク』『キックの鬼』
『紅の挑戦者』etc

 あれだけの名作は彼の不幸な人生があってこそ、その苦悩や
コンプレックスのエネルギーから生まれてきたのだ。
そう実感させられました。
自由な人間にあこがれて・・・ ★★★★★
伝説の劇画原作者の評伝
この著者においてはまあ、いろいろ評価が分かれると思う
カルト資本主義も面白い本とはいえ、そのスタンスには首をかしげざるを得ない部分もある
最近の本はなおさらで、ジャーナリストよりは活動家という感じ
でもこの本は本当に書きたかったことを書いている。同じ著者とは思えない
たぶん反骨の精神とか人間の自由さ、という面では梶原一騎に共感をしているのだろう
今の著者は本当に自由なのかな、と読んでいて思ってしまった
格差社会と戦っているのは分かるのだが、それは戦うべきだから戦っているのであって
本当は別にジャーナリストとしてしたいことがあるのではないか、と
著者の自由な新作を期待するところ
確実に日本に影響を与えた漫画原作者の驚愕絶句の真実 ★★★★★
梶原一騎は、現在少なくとも40歳以上の男性の大半に相当な思想的影響を与えていると言えるのではあるまいか?
それが、取り返しのつかないほどの悪しき影響であり、梶原自身も見下げ果てた悪漢と見られる場合もあるかもしれない。しかし、現実には、志高き男が、梶原作品のヒーローを心の支えとしていることも決して少なくはないように思う。
これは、梶原一騎の真実を知るしかないと思い、大きな期待を持って本書を開いたが、想像をはるかに超える強烈さに絶句した。梶原一騎という男が、捻じ曲がり、劣等感を叩き込まれ、その反動で世間に対して黙っていられないという複雑で危険な人間であることは確かだが、一方で、純粋で、本当に憧れる女性にはからっきしで、親分肌でもあり、恩義を忘れない人間性も確実に見える。言っては悪いかもしれないが、こんな面白い人間はそうはいない。そして、彼の本当に志した純文学には適さなかったかもしれないが、天才であることも間違いない。
また、本書で初めて明かされる裏話の面白さは半端ではない。「あしたのジョー」の歴史的ラストは、ちばてつやのスタッフのアイデアだったとか、「タイガーマスク」での感動のシーンの梶原の原作原稿は「適当に書いといて」であったとか、サプライズ満載だ。
現在の日本を知るためにも、あるいは、単に痛快な本を読みたいという目的でも、本書は大いに役に立つことを確信する。
労作、誤植2つ ★★★★☆
たいへんな労作である。梶原一騎を書きながら、日本の漫画史になっている。また、格闘技界の裏面史にもなっている。興味がつきない本である。
あとがきで述べているように、斎藤氏は梶原一騎の大ファンで、相当な思い入れをもって本書を書き上げたものと思われる。とはいえ、浮ついたところはなくて、さすがに抑制のきいた文章になっている。
と書いておいて、少し辛口のことをいうと、これまで斎藤氏の著書を読んでいて、いつももやもやするものを感じていたのだが、それがわかった。実力派ジャーナリストに対してこう言ってはなんだが、文章がうまくないのだ。より正確にいうと、読者を引き込むような文章の運びができない。要するにストーリーテリングがうまくないので、のめり込んで読むことができない。それが、このようなノンフィクションを書くときに如実にあらわれる。よくいえば、抑制がききすぎている。
再び、あえていうが、たいへんに面白い本ではある。
純情で不器用な天才の栄光と破滅 ★★★★★
 リベラルかつ鋭い分析で知られ、幼少時から梶原作品と共に育った、昭和33年生まれのジャーナリストが、1995年刊行の本に2001年に加筆して文庫化した、人間梶原の全体像に迫ろうとした本。梶原一騎=高森朝樹(朝雄)は、昭和11年に知性的な父と情念の深い母の間に生まれ、生来『夕やけ番長』的な粗暴かつ純情な男だった。教護院で物書きとしての才能を培った彼は、恋人の姓をペンネームとし、少年向け純文学を目指したが、時代の趨勢ゆえにまずは実話読物作家・絵物語原作者となった。当時小説より低く見られていた漫画の原作へ、彼を引き込んだのは、当時『少年サンデー』に後れをとっていた『少年マガジン』の若き編集長であった。以後彼は、『巨人の星』、『あしたのジョー』(ちばてつやとの合作)等のスポ魂もので一世を風靡し、さらに『愛と誠』等へジャンルを広げ、多くの漫画家やレスラーと交流し、栄光の頂点に上りつめるが、多作ゆえの才能の枯渇、生来の不器用さ(大衆蔑視的な個の絶対視)ゆえの時代の趨勢(日本型企業社会の確立、マイホーム主義、日常性重視)への不適応、更には彼の名声を利用しようとする打算的な人々への不信ゆえに、彼は離婚し酒と女に溺れ、粗暴な取り巻きと共にトラブルを頻発させ、周囲から忌避される存在となった。彼は映画製作(失敗)や大好きな格闘技興業にも手を出し、「義兄弟」大山倍達との関係を悪化させた。昭和58年、彼はつのだじろうへの組織的脅迫、編集者への暴行、強姦未遂事件等の罪状で逮捕され、それまで報道されなかった彼のスキャンダルが次々と暴かれ、2年後有罪判決を受けた。以後彼は、自伝的作品を書きつつ、家族サービスを重視し、昭和62年に亡くなった。子どもがそのまま大人になったような男と、その表現である彼の作品の危うさと魅力とを、的確に描ききった本。