妄想の世界へようこそ
★☆☆☆☆
様々な詐称疑惑で話題の妄想男の書いた妄想読本。
アメリカ名誉勲章なんか受賞していないし、
宇宙飛行士候補にもなっていません(トルコ政府が正式に否定)。
いろんなウソがバレて、ついには博士号取り消しw
なにかのネタにどうぞ。
全日本が泣かされた
★☆☆☆☆
日本の研究機関をまんまと欺いた「ほら吹き男爵」ことセルカン氏。科学者ではなくコメディアンであるが、多くのまじめな日本人の老若男女が氏の講演を真剣に信じてしまった。氏のフィクションをサイエンスと誤解した方が未だに存在するのはさすがに社会問題である。氏の熱烈な信者たちは多くの場合サイエンスを学んでいない者たちであるため、科学者たちは一致団結して真実を知らしめるべく声をあげなければ、と痛感させてくれる一冊である。
宇宙飛行士候補は嘘?
★★★☆☆
この「ポケットの中の宇宙」 (中公新書ラクレ) のpage.55 に掲載されている「2004年12月、宇宙飛行士候補に選ばれたとき、マスコミに発表された写真」については、 STS-49に搭乗したRichard J. Hieb氏の写真を元に合成したものではないかという疑惑があがっています。
また、page.61 に掲載されている海中訓練写真は、著者アニリール・セルカン氏の写真ではなく、閉鎖施設「アクエリアス」の技術者として参加したジェームズ(JamesTalacek)氏の写真であることが確認されています。
また、page.59 「2004年12月、NASA。宇宙飛行士候補として、スペースシャトルで訓練中」の写真は、
・コックピットの型式が古い。
・この写真はジョンソン宇宙センターのビジターセンター(スペースシャトルのコックピットの展示)で撮影されたものであるという疑惑があがっています。
(コックピットとの間にガラスの仕切りがあり、音声解説のステッカーが貼ってある)
また、page.60 「2002年、NASA。ドッキングの調整訓練」の写真については、
・ドッキングの訓練装置ではない。
・ドッキングの際のコントロールユニットとは形状が異なる。
・本物のMMUのシミュレーターとはまるで違う。
・MMUの展示の写真に酷似している。
という疑問があがっています。
経歴詐称
★☆☆☆☆
この本の購入を検討している方は、著者の経歴についての下記の記事を必ず参照して下さい。
日経ネット2009.11.09「東大の30代男性助教、業績論文の存在確認できず 不正の疑い」
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20091109AT3K0900H09112009.html
記事では「疑い」とありますが、鹿島建設社員である私自身が確信を持ってお話できるのは、著者の経歴(下記参照)
http://www.suku-noppo.jp/onigiri/sanka.html
にある2000年の鹿島建設に関する経歴は明白な虚偽である、ということです。
鹿島建設には宇宙開発設計部なる部署は過去も現在も存在していないし、当時27歳の著者が部長職に就くことなどありえないからです。
問題の顕在化
★☆☆☆☆
この著者に関わる一連の騒動は、我が国の大学、マスコミ、出版界、一般社会人の理系リテラシーなど、
非常に多くの問題を顕在化させるものだと思う。
P.S.
社会正義を実現するための機能を、既存メディアではなくボランティアがインターネットで果たした
という点でも今回の騒動は注目すべきである。
P.S.2
ついに東大がこの著者の博士号を剥奪したが、彼の周りにいる人物たちの処分もあるだろう。
また、既存メディア自体がこの種の人物の温床にもなっているように見受けられる。
P.S.3
ついに東大がこの著者の懲戒解雇相当処分をしたが、彼の所属した研究室の教授は責任をどう取るのか。
また、彼の行った行為はもちろん許されるものではないが、彼の周りにいる、または、既存メディアで
もてはやされる学者面した連中の(彼同様の)うさんくささを明白にしたという点で、歴史的にはよい
効果があったといえなくもない。