「コンパクトな」事典です
★★★☆☆
「哲学事典」の中で外見や価格としてはかなりコンパクトでリーズナブルな部類に入る商品だと思いますが、内容もその通りです。著者の専門はフィヒテとのことですが、網羅的とは言えないながらも、古代から現代(ロールズやデリダ、ガダマーら)に至るヨーロッパの哲学を短めの簡潔なことばで表現しています。哲学を専門としていない大学生の自宅学習用としてはまあまあ十分な内容であると思います。東洋哲学にはあまり触れられていませんし、個人的には重要だろうと思う概念も載っていなかったり、明らかに突っ込みが不十分なところもあったりしますが、このコンパクトな事典にそこまで求めるのは無理な話でしょう。ここに載っていなければ図書館で調べるなり、Webで調べるなりすればいいわけで、この事典の最大の売りは「通読できる」コンパクトさだということです。その限りでは非常に便利です。