3億円事件と八王子スーパー強殺事件はリアル
★★★★★
ノンフィクションの傑作という訳ではない。
作品として、新潮文庫の犯罪実録シリーズに似ている。
ただ未解決事件なので、
仮説を検証するルポが多い。
手がかりがまったくない事件。
手がかりだらけで、そこから仮説を導ける事件。
その違いがあからさまに記述されている。
その差異が面白い。
3億円事件、八王子スーパー強刹事件は、真相に近づいた作品が読めるように思う。
一方で全く真相に近づけない事件もある。
井の頭公園バラバラ殺人事件。
読んでいても手がかりのない様相がとてもよく分かる。
それがリアルだ。
価格と比較してお得な作品だと思う。
じんわりと胸に響く、読後感
★★★★☆
はじめ本を目にしたときは、怪しげな類かと思ったが読んでみると、作り手と書き手の誠実さと地道な努力がこめられた本だった。
未解決事件のその後を追う、というコンセプトと記事は地味だけど大事な視点だ。
凄惨な事件が起きても報道されるのは、せいぜい1週間。とくにここ近年は2,3日で忘れ去られる。この本に取り上げられ事件はいずれも
世間を騒がせたものばかりだが、時効を迎えるほど時間が経過した今では、メデイアに取り上げられることは殆ど無い。
時の経過とともに世間の記憶からも風化してしまうことほど被害者遺族にとって悲しいことはないだろう。
資料や事実関係もしっかりしているようなので信頼性という面でも良書だし、何よりジャーナリズムの良心がこめられた1冊だった。
地道な取材って大変だ
★★★★☆
事件本って裏付けのない噂レベルの話だったり、
センセーショナルな話を並べたりするものが多いけど、
この本は全然違った。
普通の記者はもちろん、作家や高名なジャーナリストが
バラバラに散りばめられた断片情報を
一つ一つ足を使って検証するという地道な作業の連続。
ピースの多いパズルを解くような感じだった。
取材や捜査って実に地道な作業なんだってことがよくわかった。
ストーリー展開の速い刑事ドラマに慣れた人には不向き。
むしろ事件にじっくり向き合ってみたい人にはおススメ。
あと、現時点での捜査の最新の動きが盛り込まれているので
資料として置いておくにはいいかも。
未解決事件ファイル 真犯人に告ぐ (週刊朝日MOOK)
宝島じゃなくて朝日新聞がやってるのが
★★★★☆
宝島やコアマガジンがやってるような実話誌かと思いきや、発行元は朝日新聞? 勧められて買ったのだけど、昔の事件はなぜだか動機にも情が垣間見れて夢中にさせられます。
圧巻のノンフィクション傑作集
★★★★★
すでに時効を迎えた3億円、小説「悪魔の詩」惨殺事件、井の頭バラバラ殺人事件から、今年時効を迎える国松長官事件、八王子・スーパーナンペイ射殺事件など代表的な未解決事件をラインナップをずらりと並べているが、内容はこの手のノンフィクションの中では圧巻だった。筆者陣も実力派ぞろいだ。とくにいろんなガセネタなどが飛び交った世田谷事件、国松長官事件などは捜査資料を明確に提示した上での本格的な事件検証のルポとなっている。事件好きの人には生唾ものの、充実した内容だ。