反面、組織論的分析や、システムリスクへの対応策に関する考察などを
期待する方にはお薦めできない内容だ。
1)旧三行(富士銀行、第一勧銀、興銀)による負け組同士の合併の背景
2)合併時の合法ギリギリの会計操作について
3)三行による権力闘争の結果によって誕生した前田社長の背景
4)行内から孤立する前田社長とその背景
5)金融行政の方針を、国民の印象と党内力学によるモノサシで図る小泉政権
6)都市銀行による不良債権処理の論点すり替え
7)タイトロープを渡り続ける銀行と金融行政
誰も確固たる自信を持って、金融業界再生のシナリオを描けない暗澹たる状況が記されている。なぜ、世界最大の資本を持ちながらも、みずほは金融市場から疑惑の目で見続けられるのかがわかる。
読後、明るい気持ちにはなれない。