表紙にもなっている「嫁ぐ人」は、花嫁となろうとする娘の幸福そうな様子が描かれているが、同時に駕籠の中に入れられた鸚鵡が、娘を見下ろしている様が暗示的だ。
清方は幼い頃は小説家になりたがっていたという。画家となってからも、絵にそれが表れている。それが欠点となることもあったというが、本書に収められた作品群は私にとってはどれも傑作で、この値段でこれだけ美しい作品群を見ることが出来たのは、本当に得をした気分だ。