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The Mystery of Capital

価格: ¥1,493
カテゴリ: ペーパーバック
ブランド: Black Swan
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   ベルリンの壁や共産主義が崩壊して久しいが、現状では発展途上国やポスト共産主義の国々で資本主義が隆盛であるとは言いがたい。西側先進国の学者がこれまで指摘したのは、魅力ある資産の不足から起業的とはいえない「思考様式」の国民性まで、その国のあらゆる要因が悪いということだった。著者エルナンド・デ・ソトはペルーの著名な経済学者で歴代大統領・首相の顧問を勤めてきた人物だが、これらの国々に資本主義が根づかないことには別の理由がある、と主張する。貧しいポスト共産主義国で資本主義が健全に機能しないのは、資産に魅力がないためではない。デ・ソトの挙げた例は、エジプトで貧しい人々によって蓄積された富は、スエズ運河とアスワンダム建設費用を含めた現在までの直接外国投資総額の55倍にも達するというものだった。

   これらの国々では資産を「眠る」資本から流動資産に転換するための、細かい法律の制定とその標準化の遅れが、むしろ根本的な問題と言える。西洋先進国には標準的な法律があるから、たとえば家を抵当に借り入れをして投機的事業をすることができるし、企業資産を多くの公開株式に分割することも、近隣や町や地域で合意のとれた規則を適用して財産を管理し査定することもできる。西側先進国ではあたりまえの(アメリカではたかだか100年の歴史しかないものの)、目立たない「資産管理」面での社会基盤の不備が、資本主義がうまく機能しない要因である、というのが著者の論点である。その環境を整えるためにはもちろん法整備が不可欠だが、著者によれば、それを社会の標準とするのは「態度」の変革を要する、きわめて政治的な問題なのである。

   デ・ソトは自らの主張を裏づけるため、研究者グループと共に、経済苦境にあえぐ世界の国々から詳しい証拠を探し出した。その結果が、多くの国々において健全な自由経済市場の発展を妨げている1つの条件に関する、非常に実証的で興味をそそる本考察にまとまったのである。