ゴッホファンには必見です。
★★★★☆
なぜ、ゴッホの絵に惹かれるのか。。。それは、絵に彼の思いが込められているから。人の主観性を重視するからこそ、絵は単なる絵として存在するのではなく、私たちに語りかけるものとしての人間性が与えられる。
常に孤独であった彼は、理解されない思いや考えを無機質な絵画にぶつけるしかなったのだろう。
そうすることで自己(感情)を表現するしかなかった。
2005年に開催されたゴッホ展。出来ることなら、この本を読んだ後に観にいきたかった。また違った感情で彼の絵を見ることが出来たに違いない。
君は未だ人間らしく行動することを選ぶことができる・・・
★★★★★
小林のゴッホに対する直感はこうであった。
〈労働は彼の人生の綱領であり、労働による自然との直接関係の中にしか彼はいかなる美学も倫理学も認めてゐない。
彼のナチュラリスムとは、自然との不断の格闘の事であり、この格闘により、自然は人間の刻印を受け、人間は自然の刻印を受ける。
この一全体を、饒舌と作為とによって解体しようとする現代に抗して彼は「人間性(ユマニテ)」と呼ぶのである。
彼を駆り立てる彼に親しい魔神も其処にいた。〉
ゴッホの死後、おそらくは、この世の唯一の理解者であった弟のテオはあと追いするように亡くなった。
ゴッホは最後テオ宛の手紙にこのように書いておりました。
〈さて、ぼくの仕事のことだが、ぼくは仕事に命を賭している。そして、すでにぼくの理性は、その中で半ば崩壊した。
それはそれでよろしい。だが、君は、ぼくの知る限り、そこいらにいる商人どもの仲間ではない。
君は未だ人間らしく行動することを選ぶことが出来る、とぼくは思う。そうではないか〉
読んでももちろん損はない
★★★☆☆
小林秀雄は三十を過ぎてからはろくな物を書かなかったし、しかも何を書いても凄い、偉いと言われる存在になっていたと個人的には思っているのですが、本作でも印象は変わりませんでした。しかし歳を取ってしまったのはこっちの方か、若い人は構わず読んだら良いと思います。小林秀雄こそは青春の文学なのですから。二十代のとんがった文体より、この頃の作品の方が、落ち着いた社会人としての成熟した内容を持っていて価値が高い、などと言ってみるのも青春のもたらす感想ですし。ともあれまず画を見て、手紙を読み、本書を紐解くという手順を踏むことはお勧めしておきます。