教育者が教育に邁進、専念することができうるように俸給をよくすべきであると、漱石が考えていたことが、当該書籍に示されていますが、実際、漱石自身、その点にだいぶ「拘泥」して自分の進路を定めていった様子が示されています。また、教え子たちの就職の周旋のために骨折っている漱石についての記述もあります。そうした記述から、生活者としての漱石の姿が思いに浮かんでほほえましくもありました。
当該書籍は、当時の日本青年の英語習得の様子や英語読解力、作文力等も知ることのできる書籍でもあります。「わずか2年半の間に(英検)4級レベルから1級レベルに学力を(奇跡的に)向上させた」漱石ではありますが、その漱石も「当時、大学で学ぶことを志した学生一般」の間での「席次は決してよくなかったという事実」を知ることのできる本でもあります。