神経の病気
★★★★☆
著者は神経内科学のお医者さん。
本書では、ヒトラー、レーニン、毛沢東、ルーズヴェルトなど20世紀の歴史を動かした大人物たちを取り上げ、彼らのかかっていた病気について分析したもの。
たとえば、ヒトラーのパーキンソン病を取り上げ、第二次大戦と重ねてみたり。毛沢東のALSでは文革との関係性を考えてみたり。それにしても、歴史的指導者の病気とは厄介なものだ。病気が歴史を動かしたと言っても過言ではないくらいだ。
主として映像資料をもとに分析しているのだが、専門のお医者さんならではの鋭い観察や指摘があり、面白かった。
独裁者から大リーガーまで。神経内科医の視点から
★★★★☆
独裁者から大リーガーまで。本書は、神経内科医である著者が、20世紀を彩った様々な著名人たちを映像を通して視診し、様々な医学論文等の文献を通して彼らの病状を探っていく。
ヒトラーを苛ませたパーキンソン病、レーニンの脳梗塞、毛沢東やルー・ゲーリックのALS、ローズベルトの脳卒中・・・。専門医であるだけに、これらの諸疾患の症状やメカニズムの解説は興味深い。重大な疾患を患いながらなお指導者が重責を担い続けなければならなかった20世紀。まともな判断を期待できないほどの病人がなお権力を担い続けた20世紀。手軽にスラスラ読める本であると同時に、為政者の病気が世界に与えた影響についての著者の考察を通して、20世紀の悲劇の一面がリアルに見えてくる気がする。そんな興味深い一冊。
人は神になれず。
★★★★★
独裁者は往々にしてカリスマ性を保たねばならない。
しかし彼等とて所詮は人。
大衆の前に健全さ(体の健康という意味ね)と頑強さをアピールせねばならないという隠れた苦悩があったということだ。
ヒトラーや毛沢東だけでなく、古今東西の独裁者(全てとはいわないが、代表的の)をピックアップしています。
独裁者はもしや古代の王様つまり統一の王の走りだったのではとか、ある種の勘繰りが起きます。
神経疾患
★★★★★
ヒトラー、レーニン、スターリン、毛沢東、ウィルソン、ルーズベルト、モーリス・ラヴェル、ルー・ゲーリック、横井庄一、エリツィン、田中角栄、レーガンがこの本で取り上げられている。病気・症状について非常に解りやすく書かれているので専門的な知識が一切無くても読みやすい。小渕総理が亡くなったのがこの本の出版後なため当然ながら一切触れられていないのが残念である。指導者の病気、特に神経疾患はその後ろにいる国民にとって重大事であり、時には歴史を大きく変えてしまうものだということが強く心に残った。
こんな病人達に世界の未来を託した時代…
★★★★★
偉人とはいえいつしか肉体は衰え引退の時が来る。為政者もまた同じ。ことに独裁的な指導者の場合悲劇はより深刻。例の選民思想で「役に立たないパーキンソン病患者は抹殺を」とやった独裁者自身がその病気に倒れ必死にその事実を隠すヒトラーが本書の愁眉。ニュース映画から病気の進行を研究する研究者の存在にも驚愕したが、毛沢東、ヤルタ会談の時のアメリカ大統領と続くと世の中本当に大丈夫か!と思う。そういえば小渕も志半ば、病に倒れたのであった?
不謹慎ながら、次は北朝鮮とトルクメニスタンが楽しみである…