とても興味深い内容
★★★★★
本書は、アメリカと日本の違いを様々な観点から浮き彫りにした本である。
著者はアメリカで銀行系のエコノミストとして活動した経験をもっている。なので、本書も経済面のコメントやエコノミストとしての活動を記述した部分が多いが、それだけにとどまらず、広く経済・社会全般をとりあげている。
本書の主なテーマをあげると次のとおりである。
(a)アニメはなぜ日本発が多く、アメリカのものは少ないか
(b)希望を語る大統領、危機を語る総理大臣
(c)ディベートするアメリカ人、ブログする日本人
(d)ジャパンマネーは本当に(リスクのある投資に向かわず)臆病か
(e)ハリーポッターやポケモンとアメリカのエバンゲリカルズ(福音派)との宗教的・文化的な隔たり
(f)スコアリングモデルに対する正しい理解を欠いた日本の金融
それぞれに興味深い観点であり、私は「なるほどそういう見方もあるのか」とか「著者の経験したエコノミストたちのディベート環境はさすがに言論の国アメリカだなあ」とか感じてたいへんおもしろく読んだ。
ただ、人によっては、「テーマがバラバラでまとまりのない本」とか、「著者の主観だけで客観的データの裏づけが少ない」と感じる人もいるかもしれません。
いい加減にこの手の手法はやめたらどうだろう
★★☆☆☆
『さおだけ屋本』以来,キャッチーなタイトルで惹きつける新書が増えていますが,この本もまさにその典型。ある意味詐欺ですね。
内容についても,冒頭で筆者が批判している日本人の学者と同じことを彼自身が行っています。つまり明確な論拠・データを示さずに日米比較を行っているということ。背後には膨大な経験とデータがあるのだと思いますが,最初にあれだけ「ステレオタイプ」といって非難しているのですから,ある程度論拠を示さなくては。
とにかくこのようなタイトルと内容が大きくかけ離れているような新書はそろそろ淘汰されるべきではないでしょうか。そうしないと新書全体の信頼性が失われます。筆者が主張したいことは決して悪くはないのですから。
対比点に関する所は分かりやすいがいささか冗長性が高い
★★★☆☆
アメリカと日本の文化的ネガポジ論を土台として経済を読みとく本。
つまらなくは無いが、全体評価4.5のCPは無かった。
経済専門の人
★★★☆☆
著者が竹中重治さんだったら、豊臣秀吉の軍師ということになるのだから、すごい名前だ。
ラーメン屋というのはその店にやってくるせいぜい一日100人足らずの商売の象徴で、マクドナルドというのは全国のチェーン店全体の規模で考える商売の象徴だそうだ。
これを皮切りに、いろいろな日米文化経済の差を対比の形で説明していくのだが、子の竹中さん、重治でないだけにアイデアが続かない。
ラーメン屋Vsマクドナルド、ディベートVsブログに来てちょっと対比がずれていく。ビルゲイツVs小金持ち父さんでは分析は正しいがビルゲイツは究極の金持ちだが、究極の金持ちはビルゲイツではない。ビルゲイツは究極の金持ちの必要条件にしか過ぎないのに。
エコノミストはビルゲイツというと金持ちをイメージするのだろうかと思ってしまう。
ビルゲイツといえば、パソコン界の覇者ではないか。
どうも、この竹中さん、象牙の塔の引きこもりじゃないのか。
ポケモンは日本アニミズム文化の象徴であるという前振りがアメリカで大人気というのも主張のポイントがずれているし。
しかしながら、この本はダメ本ではない。マスコミジャーナリストのネタ本のようなのだ。
希望を語る大統領と、危機を語る総理大臣は、先日インターネットのブログではやりの題材だったし、金融工学のキーワードは「逆選択」
というのも、NHKの番組で使われていたし。
読んでおいて損はない。
なるほどと思う日米間の違い
★★★★☆
世界で受け入れられるアニメーションが何故ほとんど日本発でアメリカ発のものがないのか?から総理大臣と大統領のリーダーシップの違いまで、この本を読むと今まで漠然と国民性の違いというだけで分かった気になっていたことがロジカルに理解できます。
日本人はラーメン屋的ビジネスの発想をし、アメリカ人はマクドナルド的なビジネスの発想をするということも、その本書が解説している歴史観・宗教観に基づく成り立ちから考えると非常に理解しやすくなります。
あくまでその説明は著者の見方であるので、全てが正しいといえるわけではないと思いますが、グローバル経済が拡大する中、面白く読むことが出来る一冊です。