ショートバス [DVD]
価格: ¥1,890
正直、映画が始まった時はハードな絡みやらひとりエッチなどの連続に「あれ? マジでポルノ?」と思ってしまった。舞台は自由奔放に性を楽しんだり、話を楽しんだり、上演されるパフォーマンスを楽しんだりするアングラなサロン“ショートバス”。そこに恋愛カウンセラーでありながら夫とのセックスでオーガズムを味わったことがない女性、ゲイのカップル、SMの女王様といった人々が登場する群像劇なのだが、とにかくセックスと愛の問題から逃げずに真っ向から挑んでいるところがスゴイ。実際に出演者全員が本番しているらしいのだが(撮影中はスタッフも裸でいたらしい)、そのポルノギリギリくらいまで性描写を丹念に描くことで、どんなにセックスで盛り上がろうとも愛で繋がっていようとも孤独を感じてしまう哀しい人間のサガがズーンと胸に響いてくる。解決できない孤独感、だからこそ求める愛と性、そのイタチごっこのような状況を最後には笑い飛ばしてみせ、かえって人生の深遠さを掘り下げる演出にはマジでため息。過激な描写はふんだんでも、実はとても繊細な人間の心理に迫ったすごい作品なのだ。体当たりで挑む役者たちもすごいし、いろんな意味で考えさせられるはずだ。若いと興味本位だけで観ちゃう人も多いだろうが、その深さもきっちりと味わってほしい作品だ。(横森文)