All-American Rejects
価格: ¥1,112
なんとも傑作なバンド名を持つオール・アメリカン・リジェクツが、おたく系ロックの雄、ウィーザーと比較されてしまうのは避けられないところだろう。しかし、目の高いリスナーなら、痛々しくもぶきっちょな愛についての恥ずかしい歌詞が終わると、このグループ独特の推進力に富んだリズムが顔を出すことに気づくはずだ。ここに注目すれば、このオクラホマのバンドは、上に名前の挙がったお坊ちゃんの道楽的ポップ・グループより、落ちこぼれ版グリーン・デイという方向に近いといえる。
だが、そういうところを恥じ入る様子もなく本作でメジャー・レーベル・デビューを果たすオール・アメリカン・リジェクツは、明確なヴィジョンを持った上でパンクとポップを融合させた。パンク、ポップへの妙な忠誠心は捨て、それぞれの最良の部分を注意深く抜き出して、トゲのある、エキサイティングな中間地点のサウンドに到達したのだ。
ヴォーカルのタイソン・リッターは、哀れな愛を捧げる男という役どころをとりわけよく心得てきている。力強い「Too Far Gone」や、ぼんやりとしたオーケストラ・サウンドの「The Last Song」といったトラックは、リッターのバンド・メイトたちによるインスト演奏のみだが、安心して聴いていられる。
このアルバムを聴くには、気を強く持って、「Swing Swing」や「My Paper Heart」で歌われるいたたまれない内容に自分の姿を見出さないようにしなくてはならない。皮肉な味のポップ――ボックス・カーレーサー、ファウンテインズ・オブ・ウェインといった路線――のファンは迷わず聴くべし。(Kim Hughes, Amazon.com)