『地域再生の罠』に感動して購入、こちらは目から鱗が落ちまくる本
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『地域再生の罠』に感動・共感して、同著者の本書を読む方が多いと聞く。私もその一人。
『地域再生の罠』は「感動と共感」など感情を揺さぶる本ですが、本書は明快な解説に
「目から鱗が何枚も落ちる」本です。
特に秀逸な解説が「カップル減少社会」。今年『単身急増社会の衝撃』という本が発売され話題になったが、
この指摘と提言が実は、2年前に刊行された『日本版スローシティ』で既に明快に提示されていて、著者の
久繁哲之介氏は先見性にも優れた方だと解る。
著者の解説は、とにかく面白い。著者はカップル減少の定義と理由に、戸籍上は結婚(カップル)が成立しているが、
実生活ではシングルと同じ行動をとる「仮面夫婦」を含めている。この仮面夫が地域再生関係者には多く、
休日をゴルフ場やゴロ寝で過ごす彼らが、街中活性化を机上で計画するから街中は活性化しないと指摘する。
自治体や商工会や地方議員など地域再生関係者の方々は、ゴルフやゴロ寝は控えて
本書を読むべきです。そして、街中で過ごす時間をつくり、それから街中活性化を計画してくださいね。
市民も共感できる街づくりの本
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某JAZZフェスタ実行委員長のブログで「まちづくりを志す人、行政、政治家は読むべき本」だと絶賛してるから読んでみた。
まさにその通り! 彼も私も音楽家で都市問題は素人だが、自分の住む街を魅力的にしたいと切望している。こういう我々のような一般市民の願いを叶える理念とそれを実現するアイデアを一般市民にも解りやすく説明してくれる本です。そして、「市民のため」と見え見えの建前ばかり言う「行政、政治家」には本当に読んでもらいたい本です。市民が解りやすく読めて共感できる街づくり本に私は初めて出会いました。
我々のような一般市民が幸せになる為の街づくりを主張する「スローシティ」という理念と著者の久繁哲之介氏を我々一般市民は応援します。
目から鱗の洞察の数々
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著者は先月、某雑誌寄稿論文にて本書刊行を予告紹介していて、それを見て私は非常に共感し、本書発売を心待ちしていた。とりわけ共感した部分を引用させて頂く。
『何故、「日本版スローシティ」というタイトルなのか。地域固有の文化・風土を保存し活用するイタリア発祥の「スローフード運動、スローシティ運動」の根底にある「精神」に、技法の模倣に走る日本まちづくりは見習うべきことが多々あると主張するためである。技法の模倣と、高貴な精神を見習うことは、似て非なるものだ。・・・・」
「技法の模倣」の紹介しか書くことのできない建築屋や学者の本と比べると、このように著者の文章は、流れるように美しく非常に読み応えがある上、技法紹介の限界を指摘しながら新たな、しかも実践可能な理論を展開している。本書は、私のような不動産業界人や建築業界人には非常に有益である。そして何よりも、自分の住む地域を活性化させたい方、また自分の町は今後どうなっていくかに関心のある方は、ぜひ本書を読むことを推奨する。目から鱗の洞察の数々から、必ずや新たな知見を得られるであろう。