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セクシャル・ハラスメント・オブ・ワーキング・ウィメン

価格: ¥5,400
カテゴリ: 単行本
ブランド: こうち書房
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セクシュアル・ハラスメント論の古典にして最高峰 ★★★★☆
 1979年に出版された本書は、アメリカで(したがって世界で)、初めてセクシャル・ハラスメントをフェミニスト法学の立場から体系的に分析し、理論化した著作である。その後のセクハラ理論の枠組みとなっている考え方――セクハラを対価型(代償型)と環境型に分類し、それぞれが性差別であるとする――はすべて、この著作が基礎となっている。いわばセクハラ論の古典であり、今日なお、ここまで徹底的かつ理論的にセクシュアル・ハラスメントを分析した個人の単著は存在しない。
 本書は米国の法学とフェミニズムの世界に文字通り衝撃をもって迎えられ、その後、雇用機会均等委員会(EEOC)のガイドラインは基本的にこのマッキノン理論を採用するにいたっている。
 しかし本書の意義はこの問題だけにとどまらない。女性の地位の不平等の問題、性差別の問題をフェミニズムおよび法律の両方においてどのようにアプローチすべきかに関して、基本的なものの見方・考え方を明らかにしており、フェミニズム全体、法学全体に、大きな貢献をなした。
 ただし弱点もある。男女間の権力関係には敏感だが、企業内の権力関係そのものは批判の対象とされていない。米企業の上司があまりに広範な権力を持っていることがセクハラの温床になっていることの指摘がない。
 邦訳題名について一言。何より、これほど長い原題をすべてカタカナ表記するのはひどい怠慢だし、普通の読者を遠ざけるだけだ。また、「セクシュアル」を「セクシャル」と表記するのも、検索にかかりにくくして、売り上げを減らすだけだろう。訳語の不統一も目立つ。歴史的名著なのだから、もっと時間をかけて丁寧に本作りをしてほしかった。