滝廉太郎の純クラシック曲
★★★★★
夭折のため全てが若書きの滝廉太郎の、わずかに残された純器楽曲。「メヌエット」の短調の主部はタイトルのごとくどことなく和風の旋律で、中間部の長調の旋律はこれがまた唱歌のような雰囲気。「歌曲の名手がピアノ曲書いてみました」という感じの作品なのだが、もう一曲の「憾(Grudge)」はちょっと趣が違う。左手は和音連打(八分音符三つの後の付点四分音符なのでちょっと間が持たない)、右手はオクターブの荒々しいパッセージ。盛り上がったところで叩きつけるような属七和音、そして最後はいかにもって感じの終止和音の連打。何分にも荒削りでまるで洗練されていないのだが、それだけに歌曲ではうかがい知ることのできない滝の激しい一面を垣間見ることができて、興味深い。