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サンゴとサンゴ礁のはなし―南の海のふしぎな生態系 (中公新書)

価格: ¥6,686
カテゴリ: 新書
ブランド: 中央公論新社
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なんてエキサイティングなサンゴの話! ★★★★★
この「サンゴとサンゴ礁のはなし」は、なんて知的でわくわくする本なのだろう。

もっと早くにこの本に出会いたかった。読後の感想である。


この春、ロタ島(北マリアナ自治領)で1度シュノーケリングをしてだけのサンゴや熱帯魚の知識がほとんどない私でも、本書を読み進めてくうちにきちんとそれらの知識が頭に入って来た。あ〜、あのときのホンワケベラはそんなことをしてたんだ、チョウチョウウオの口がお著部口(おちょぼぐち)なわけやその仲間に縦縞が多いわけや、サンゴ礁の造形の理由、南の海が透明な理由、夕方になると泡をまとって浮上する海藻みたいな粘液の正体、読み進めるに従いそんなことがすかっり分かった気になってしまうのだ。現地で読みたかったな。

特に著者は知識の無い読者に対してもイメージできるように、丁寧に説明を重ね、その上で知識が積み重ねられるように配慮して文章を起こしている。そんな気配りの文章はイライラするはずも無く、そして何より、著者はサンゴとサンゴ礁が大好きだ!それがひしひしと伝わってくる。本書の「はじめに」に書かれている次の一節がそれを表していよう。「〜 一生に一度は、いい音楽に心をうばわれ、また名画に感動しなければいけないように、サンゴ礁の海に一度は潜ってみなければ、その分その人の人生は、その分だけ貧しくなると私は思っている。」これだ。名書は著者の深い思い入れがなければ生まれものではない。

日焼けとビールで火照った体には南の島の夕風が心地よいように、通り一遍、熱帯魚やサンゴを見るあとは、この本を読み進めることで今日見た海の光景はそういうことだったのかと合点が行き、知的な興奮を覚えるだろう。南の島にいかれる際は本書を持参することを強くお勧めする。今度いくときは評者も現地に持参しようと思う。
サンゴ礁に関心を持つ人にとっての“基本文献”。「国際サンゴ礁年」が生んだ“宝” ★★★★★
2008年は「国際サンゴ礁年」である。それを契機に、同じ著者の1985年の旧作が全面改訂された形だが、もしかしたらこの出版こそが、「国際サンゴ礁年2008」の最大の財産となるかもしれない。とにかく、ダイバー、アクアリスト、そしてサンゴ礁の危機や保全に関心のある人間は必読。これだけの内容が新書で買えるのだから、これ以降、この本を読んでおかなければ、サンゴやサンゴ礁について語る資格はないとさえ言いたくなる。

あとがきには、
>本書は「サンゴ礁はやわかり」である。手軽にサンゴ礁が理解でき、その魅力が伝わるように心がけた。
とあるが、決して“通りいっぺん”の内容ではない。造礁サンゴの共生褐虫藻の分類の話など、専門書や学術論文を読まなければ分からないし、今、実際にサンゴ礁保全活動を行なっている人間でさえも、知らない話が満載なのではないか。況んや一般のダイバーやアクアリストに於いてをや。漫然と眺めていたサンゴ礁の生物たちの間に、こんなにも不思議で、こんなにも魅力的な、生き物同士の関係が繰り広げられていたことを知れば、見慣れた景色も全く違って見えて来るだろう。ダイビングやアクアリウムの楽しみが、何倍にも深まるに違いない。

また最終章が我々の現代文明批判にまで繋がって行くあたりは、この著者の真骨頂でもある。サンゴ礁の生き物社会のお話を面白おかしく読み進むうちに、我々の人間社会までが、これまでとは違った姿を見せて来る。「目からウロコ」とはこのことだ。文明論の専門家ではないから、語られている“北”と“南”の文化の対比には、些か乱暴なところもあるのだが、我々の常識をクルリと逆転して見せてくれる手腕には、ある種の快感さえ宿る。
サンゴ礁の生物や生態学に関心のある人だけでなく、沖縄を初め、南島の文化に興味・関心のある人にも、自信を持ってお勧めできる一冊である。
沖縄好きのダイバーにお勧め ★★★★★
ダイビングのため年3回沖縄に行っている私のような人間には堪えられない一冊です。前作の「サンゴ礁の生物たち 共生と適応の生物学」も面白かったのですが、科学の進歩による内容の充実がうかがえます。
また珊瑚と共生している魚や甲殻類などの話も、新しい話がいっぱいあってとても面白く読めました。
本書に解説のある1998年の珊瑚の白化には自分自身びっくりしました。不健康そうな真っ白な珊瑚というのは不気味で、4カ月後に行った時には藻がついており、その理由も本書で理解できました。
なぜ生き物はサンゴ礁に集まるのか ★★★★☆
時流に流されてるとレビューみたいなタイトルになりそうだが、あえて凡庸なタイトルを選んだ著者と出版社は立派。生物学について、知識のない人でもわかるよう、内容は非常に平易に書かれていて、かつ充実している。

そもそもサンゴは外観が石みたいなので、どうしても生物と思えず、まして表面のつぶつぶ1つ1つが単体の生命とは思えない。また、透明な(換言すれば貧栄養な)海に生きるサンゴの周りになぜ生き物が集まってくるのか。そうしたサンゴとサンゴ礁には理解のできないところについて、前半のQ&Aで疑問に一つ一つ回答することで、そうしたサンゴのいろはとも言える知識の積み上げていく。

本書を読んでいるとサンゴ礁に生きる生物によってサンゴ利用の術を良く知っているいることがわかる。サンゴ内に生きる褐虫藻(これが白化現象の要因)はサンゴに住まわせてもらう代わりに光合成の栄養をサンゴに供給する。サンゴ礁に衣食を提供してもらう代わりに天敵のオニヒトデを攻撃するエビやカニ。利益をサンゴに与えず、ただ居候というずぼらな生き物もいる。サンゴに限らず、共生関係にある海洋生物についても章立てされていて、海洋生物の豊かさを感じる。

一般には、環境問題とマリンスポットとしての注目しか浴びないが、生命という視点から見た方が全然面白い。とはいえ、環境とサンゴの関係についても、紙数は少ないがよく説明がなされている。陸地に近いところでしか生きられないので、陸上の変化を強く受けやすい。土砂が流れ込んだりすれば、あっという間に光合成ができなくなったり、富栄養化して藻などのライバルに地面を乗っ取られてしまう。海の生物ながら陸の環境に敏感な生き物。サンゴを取り巻く複雑さ、その価値について、考えさせられた。