激しくぶつかり合うビリヤードのボール。ミサイルの弾道。加速する自動車のコーナリングにおける力学。物理の法則を適用すれば、ゲームに登場するほとんどすべてのものを写実的にモデリングすることができる。コンピュータゲームやシミュレーション、またはアニメーションの中であちこちに跳ね返ったり、飛び回ったり、転がったり、横滑りしたり、絶えず動いたりして説得力のある現実感を与えることができるのだ。
本書は、物理学に基づいた現実感あふれるゲームを作成したいエンジニアの出発点となるだろう。第1部は力学入門になっていて、精密な動体力学のさまざまな側面を述べ、基本的な概念を説明している。この中には、運動伝達理論、エネルギー、動力学なども含まれている。第2部ではこれらの概念を、ミサイルなどの投射物や、船舶、飛行機、自動車といった実際の物体に当てはめている。第3部ではリアルタイムのシミュレーションを紹介し、コンピュータゲームに適用する方法を説明している。ゲームで使われる多くの要素は実際の物理を当てはめて考えることで現実感を帯びるはずだ。次に例を挙げよう。
- ロケットやミサイルなどの軌道と燃料焼失から受ける効果
- ビリヤードボールなどの物体同士の衝突
- 急カーブを疾走するレースカーなどの安定感
- 船舶やその他の水上輸送機関の動き
- バットに当たった野球ボールの軌跡
- 飛行機が航行する際の特徴
本書を読むにあたって、物理の専門知識は必要ない。ただこの本は、基本的な大学レベルの古典物理学の知識を持っていることを前提に書かれている。また、三角法、ベクトル、および行列と(方程式と恒等関数は付録に参照が載っている)、陽関数の微分、積分を含む大学レベルの微積分学に関する理解も必要だろう。(Book Description, Amazon.com)