そもそもコンセプト・アルバムとして制作されたものの、エルトンと作詞家バーニー・トーピンの初期のキャリアと名声をしぼませることになった。そのかわりに本作が浮き彫りにしたのは、エルトンの裏の顔と表の顔が、ソングライターとしての顔と芸人としての顔が激しくぶつかりあう姿だ。(失敗に終わった自殺について歌ったと言われる)「Someone Saved My Life Tonight」は、エルトンのナンバーの中でも最も優しさに満ちた告白と評され、トーピンの作った中でも最高の歌詞に挙げられる。また、「We All Fall In Love Sometimes」は報われることのないロマンチックな想いを皮肉と哀れみを込めて認めている。その反面、(ジョン・レノンと友人になったことを祝って作られたような)「Lucy In The Sky With Diamonds」のカヴァーは余計だし、「Philadelphia Freedom」はふてぶてしいくらいに陽気だ。
こうなると、いったいどれが本当のエルトンなのかわからなくなる。リリースから数十年たった今でも、その答えは謎に包まれたままだ。(Andrew McGuire, Amazon.co.uk)