正しいシャーロックホームズです。
★★★★★
シャーロキアンによる、ちょっと強引な深読み解説には抵抗のある人にもお薦めなのが、この全集です.日本文学で言えば、近松、西鶴あたりの古典に対するような註がとてもまじめにつけられています.当初の原稿ではこう書かれていたのが単行本でどう変更された、貴族階級を正確に描写することに関してドイルは無頓着であったが、公爵の称号の正しい呼び方はこうである、などなど。オックスフォードかケンブリッジを思わせる大学で起きた、奨学金をめぐる事件<三人の学生>では、慇懃無礼にあびせられる訂正の数々に、エジンバラ大学出身のドイルがちょっと気の毒でおもしろいです。値段が高いのが玉に瑕です。