Oh Yeah
価格: ¥863
チャールス・ミンガスは、単にベーシストという以上の存在だった。コンポーザーであり、バンドリーダーであり、エリントン・ミュージックの継承者であり、黒人差別に激しく抗議する正義の人であった。だからだろう、ミンガス・ミュージックは強烈な個性に彩られ、聴く者に強く衝撃を与える。
本作は1961年の録音。ミンガスが最も意気盛んだった時代の痛快な作品だ。ここでのミンガスはベースを弾かない。ベースはダグ・ワトキンスに任せ、自身はピアノを弾き、ブルースシンガーに徹している。ベースを弾いても弾かなくても、全体から伝わってくる強烈なメッセージは、紛れもなくミンガス・ミュージックだ。
アトランティック時代の作品といえば『直立猿人』や『道化師』が有名だが、それらとはまた違った煩雑(はんざつ)性が本作の魅力だ。豚の鳴き声をまねる<1>は決して上品とはいえないが、だからこそブルースなのだ。<5>では怒りを爆発させる。渾身(こんしん)のプレイを聴かせるブッカー・アーヴィンとローランド・カークは敢闘賞だ。(市川正二)