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朱鷺の遺言

価格: ¥304
カテゴリ: 単行本
ブランド: 中央公論社
Amazon.co.jpで確認
佐渡と能登での保護活動を丹念に追った本 ★★★★★
昭和に入ってのの素朴な保護運動が少しずつ行政を巻き込んでいく
捕獲しての飼育繁殖か、野生のまま生息地を保護するかで板挟みになる
また禁漁区や保護区にすることで農業が制約されるなどの問題もあり
開発も出来なくなるなど、地元のコンセンサスを得ることは難しい
佐渡にとってはシンボルとして大事にされているが、能登では少々微妙な扱いであった
また戦前にすでに乱獲で絶滅寸前に追い込まれている、という問題もあり
なんで急激に減少し、繁殖活動が行われなくなったのかは謎だよな
完全に同種である中国で保護されたトキのおかげで復活が進みつつあるが
そこんところがわからないと復活は難しいのではないだろうか
朱鷺の舞う空 ★★★★★
チョコエッグ第1弾003であり、特別天然記念物であり、現在野生の日本には生息しないもの。

といっても、オレが物心ついたときには既に保護センターに飼育されているものしかいなかったのだった。イロイロ考えてしまうことは多いのだが、これほど大きくて美しい鳥があそこまで数を減らしてしまうまで、何の対策もとられなかったというのはなぜなのだろう。そりゃ、みんなそれが自分の仕事だなんて考えなかったからなんだろう。どの程度まで普通に、過去の日本の世界にこの鳥は存在していたのか。アメリカのリョコウバトもあれほど大量にいたのに絶滅してしまったわけで、大部分の人にとって動物たちが絶滅しようが何だろうがどうでもいいことなのだろうか。だから、それが自分の仕事だなんて誰も考えなかっただけの話なんだろう。オレだって、それが自分の仕事だとは思わないだろうし、まさか動物の絶滅がそれほど近くに当たり前のように存在している出来事だなんて、考えるはずもないのだろう。

だからこそ、こんな人がいたと知るだけでもこの本を読む価値はあるのだ。朱鷺の美しい姿を見れば生存させていきたいと願うのは全く自然なことだが、実際にこれだけのことをするのは並大抵のことではないのだから。

トキへの限りない哀惜が感じられる好著 ★★★★★
小林照幸氏といえば、沖縄のハブに関するものなど視点が独特なジャーナリスト。佐渡の人々と「朱鷺(トキ)」のかかわりを詳細な取材に基づいて検証していることに脱帽する。
戦後の紆余曲折を経て、いま、純国産のトキは1羽もいないことを考えあわせると、関心はなくとも哀惜の思いを禁じえない。ここに登場する人たちは専門家ばかりではない。ただ、トキに親近感をもって守ろうとした地元の人たちの足跡だ。いま、地方自治は国や行政とのかかわりなど、なにかと不自由な点、理不尽な点が指摘されている。国際保護鳥から特別天然記念物へとトキをとりまく状況が変わるにつれて、その保護に関してもさまざまな権利や義務、関与が入り乱れる。
佐渡が、日本が誇る優美な鳥「朱鷺」を守りつづけた人たちの強い思いが画き尽されている1冊。