先行2枚のアルバムと同じくらい一貫性が取れてはいるが、トム・ペティ&ザ・ハートブレイカーズを一躍アメリカ・ロック界の一流アーティストの仲間入りさせたのは、そのサードアルバム『Damn the Torpedoes』だった。その理由を知るのは難しいことではない。駆り立てるような調子の歌(Refugee, Here Comes My Girl, Even the Losers, Don't Do Me Like That)がFM局の定番となっていく中、これは、ベストヒット集を半分にしたようなアルバムだ。ディランやバードを気取った感の強いルーツ色の濃い感受性と(若い頃にマッドクラッチやドワイト・トゥイリーらと共に磨いた)自分自身のポップに対する本能とを混ぜ合わせて、それを実力はあるのにロック界で常に過小評価されてばかりのハートブレイカーズと組み合わせたぺティの先祖がえりのような伝統主義が奇妙にも功を奏して、70年代後期のニューウエーブの波に乗ったのだ。この新版アルバムは全曲が最新のリマスター技術で音質を高めている。 --Jerry McCulley