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ロビンソン漂流記 (新潮文庫)

価格: ¥662
カテゴリ: 文庫
ブランド: 新潮社
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漂流記ものの元祖 ★★★★☆
1719年に出版された漂流記ものの元祖ともいえる作品。
文明社会から隔絶された無人島でいかにしてサバイバル生活を送るかという物語は、
都市文明が発達した当時の英国において非常に高い関心を持って受け入れられたと思われる。
幸いにして本書の主人公は多くの生活道具や武器や食物に恵まれ、
ちょっと都合の良すぎる設定ではないかと思わなくもないが、最後までとても面白く読める。
無人島の近くに住む原住民を「野蛮人」と呼んだりして現代の基準から見るとちょっと人種差別的なのが気になる。また後半の方で仲間に引き入れた「野蛮人」を召し使いにしたりもするが、それでも主人公は彼に様々な文明の知識やキリスト教を教えたりして、当時の西洋人としてはそれなりに博愛精神を持った態度ともいえる。
本書はフィクションだが、その当時セルカークという航海士が無人島で生活したという体験が元になっているらしく、その島はその後ロビンソン・クルーソー島と改名されたそうだ。

無人島漂流記 ★★★★☆
子供のとき、「十五少年漂流記」とともに好きだった作品。
漂流して無人島で生きるというシチュエーションでワクワクした。

子供のときに読んだのは、少年少女向けの文学全集に入っていた抄訳版で、出だしの貿易をしていた頃の話などはなかったと思う。
詳しくは覚えていないが、神についての思索などの部分もなかったかな。

今回全部読んでみて、最初から難破船の積み荷がごっそり手に入るところなど恵まれすぎて
いるところや、思いつきのようにつぎつぎにアイテムが出てくる「あれれ?」と
思うところもあるが、これはこれで面白い。

無人島の孤独な生活の中、神の摂理について考えるロビンソンの言葉には真実味がある。
18世紀初頭のキリスト教徒の世界観を反映 ★★★★☆
小学生の頃、小学生向けに書かれた本を読んだが、同じく無人島に流される「十五少年漂流記」に比べ、もう一つ好きになれず、繰り返し読むこともなかった記憶がある。

何故だろうと思って読み返してみたが、その理由が分かった。18世紀初頭のキリスト教徒の世界観に基づく小説だからである。放蕩息子が、無人島でひどい目に会う内に、神に目覚めるというあたりはまだよいとして、黒人奴隷はあたりまえ、原住民は野蛮人、キリスト教徒は未開人を教化してやるのだ、無人島ですら国王きどりになる、その世界観に違和感を感じていたのだと思う。

とはいえ、主人公の心の描写には切実なものがある。例えば「苦境から救われるのよりも、罪から救われる方が遥かに有難いことを感じる」とか、「自分の境遇を・・・より辛いものと比較して神に感謝したならば、人間の間にどれだけ苦情の種が減ることになるだろう」など、他にも多数あるが、このあたりは、小学生の自分にはその価値が分からなかったのだろう。

いずれにしても、アウトドア的な冒険小説としてではなく、人生の真理に迫った小説として読むといいと思いました。

読み続ける価値は高まっているのではないかと思います。 ★★★★★
誰でも知っているような有名な物語ですが、改めて読み直してみると非常に奥の深い作品であるように思いました。子供の頃とはかなり違った印象を受け、物質文明への警鐘であり、自然人としての人間の幸福を探ろうとした作品なのではないかと考えました。現代の人が読めばエコロジーと関連付けて読めるのではないかと思います。ロビンソンは、孤島に流され一旦は絶望しますが、生きていること、生きていけるということが神から提供されている幸福であるということに気づき、神への感謝という気持ちを得て平穏を取り戻していきます。それは、欲望渦巻く現代人へのアンチテーゼと思えました。そして自然の中で謙虚に暮らす”人類”の生活のあり方がロビンソンの生活にみつけられるのではないでしょうか。「私はこの世にある凡ての悪から離れて生活していた。私には肉欲も、物欲も、虚栄心もなかった。私は現在用い得る凡てのものを持っていたので何も欲しいと思うものがなかった。」「ここでは、私に使えるだけの量のものしか価値がなかった。私が食べてゆくのに十分なだけの食糧とその他の需要を満たすための材料以外は私にとって意味を持たなかった。」「この世にあるどんないいものでも我々がそれを使用できる範囲でしか我々にとって価値がないことを知った」物質文明が破綻しかけている現代において読み続ける価値は高まっているのではないかと思います。
「無人島ごっこ」のイメージの崩壊。 ★★★☆☆
子供の頃夢中で読んだ「ロビンソン・クルーソー」を、初めて原書の忠実な訳で読んだ。
子供の頃は、島でのサバイバル生活に目を奪われ、子供部屋の一角に「食料と道具」を溜め込んで、親に叱られたりした。
(叱られたのは正確に言うと、しまいこんだパンが青カビの塊になって発見されたからだ。)

"本物"のロビンソンは、牧歌的なサバイバル物語ではない。
第一、主人公がイヤな奴だ。
恵まれた境遇によりかかり、何をするでもなく、早く簡単に良い結果を出すことばかり考えている。
熟考することなく、場当たり的。
何かを決意してもちょっとおだてられると、すぐに節を屈してしまう。
自分は何もしないくせに、他人には忠実であることを望む。

そして有色人種に対する理不尽な優越感。
この態度、この語調はどこかで見たことがある、と思ったら。
「カラカウア王のニッポン仰天旅行記」の著者、ハワイ王の随行を勤めた白人と同じだ。

「ガリバー旅行記」は子供向けの本と"本物"とでは、主題が異なることを知る人も多く、そのため"本物"を読む人も多いだろうが、

ロビンソン漂流記の"本物"を読む人は少ないのではないだろうか。
子供の頃「無人島ごっこ」をした人に、是非いちど読んで欲しい。