母国セネガルのみならず、アフリカで、いや世界においても指折りのヴォーカリスト、ユッスー・ンドゥール。彼の89年リリース盤である。盟友ピーター・ゲイブリエルの推薦で契約した、ヴァージン・レコードからの第一弾でもある。『ネルソン・マンデーラ』に続き、ワールドワイドな注目を集めた快作だ。
   しなやかに胸を打つヴォーカルのすばらしさはもちろん、驚異のバックバンド、シュペール・エトワールとのスリリングなかけあいも圧巻の一言だ。ゲイブリエルがゲストで共演しているが、そんな話題作りなど必要なかったとさえ思えるほどの、確固たる存在感に心揺さぶられる。（武内 誠）