江戸時代の治水事業
★★★★★
九州、筑後川沿いの貧しい農村に水を引くための堰を築く庄屋達の苦労を描いた歴史小説。土地が、川の水面より高いため、農業用の水さえ川の水を汲んでいるような農村では、よい米どころか、稗や粟でさえも作るのが難しい。筑後川のような大きな川を堰き止め水を引くのは、とてつもない大工事で、財政の苦しい藩も簡単には動かない。農民苦しい状況を改善するため、命がけで立ち上がった5人の庄屋を、農民、武士、商人達が支えて取り組んでいく。貧しい農民達の姿や庄屋達の並々ならぬ熱意とそれを一生懸命支える老侍の描写は鮮明で、普段小説は読まない私も感動させられた。