SO MANY COLORS
価格: ¥3,000
カラフルなイラスト・ジャケットが印象的な小曽根真の新作は、演奏内容もこれまた色鮮やか。それを端的に示すのが冒頭の曲で、これは最初ラテン・ムードからスタート、途中バロックふうに変化して、最後は再びラテンに戻るユニークな構成だ。かと思うと、アジアを意識して書いたという<4>は古き良き時代の日本を思い出させる静謐(せいひつ)な世界だし、フランス語のタイトルがついた<8>はロマンティックなフレンチ・ムードという具合に、曲によってさまざまな色を使いながら、色鮮やかな世界を描き出している点がとても印象的だ。
でもやっぱり小曽根特有の小気味のいいジャズも聴きたいという人もいると思うが、ご心配なく、<5>ではストレート・アヘッドな演奏を存分に堪能できる。これはジェームス・ジナスがバンドに参加して2作目にあたる作品だが、コンビネーションといい演奏のスケールといい、確実に進歩のあとが感じられる自信作だ。なお最後の<11>はCMに使われたソロ・ピアノ・バージョンとは異なるトリオ・バージョン。(市川正二)