『The Collection』というある意味面白みのないタイトルのこのアルバムは、スタイル・カウンシルのコンピレーション・アルバムで、ヒットシングル5曲の他、B面収録曲、LP2作目の『Our Favourite Shop』をはじめとする他のアルバムからの曲など17曲が収録されている。ジャム時代からのファンはスタイル・カウンシルのジャズカフェ的な音楽を裏切りと感じ、彼らのヒーローであるポール・ウェラーを背信者とした。しかしこれは、おかしなことだ。『Beat Surrender』、『Shopping』、『Town Called Malice』といったジャム後期の作品には、スタイル・カウンシルのソウル・ジャズの片鱗がはっきりと見えるからだ。『Our Favourite Shop』がウェラーの最高作だという評価も議論の余地がある。このアルバムを聴けば、その素晴らしさが分かる。『A Stones Throw Away』 や『All Gone Away』は鋭い詞だけでなく、 豊かなアレンジも見ものだ。シングルからは、リズミカルな『Shout to the Top』、『Solid Bond in Your Heart』、そして『Harvest for the World』を思わせる『My Ever Changing Moods』、しなやかで魅力的な『Long Hot Summer』が入っている。朝、カプチーノのにおいを楽しみながら聴いてみよう。Chris King