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ドイツ病に学べ (新潮選書)

価格: ¥1
カテゴリ: 単行本
ブランド: 新潮社
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玉石混淆のドイツ紹介本の中で、本書は相当しっかりしている ★★★★★
著書は16年ほどドイツに在住しているジャーナリストである。元NHKの記者であったそうで、社会事象へ向けるまなざしはしっかりとしている。ドイツに関する自称ジャーナリストは数多くいて、それらの本は結構、いい加減である。私のようにドイツ在住が1年の大してドイツを知らない読者でも本当かよ、と思わせる本は多い。そういう玉石混淆のドイツ紹介本の中で、この本は相当しっかりしており、ドイツ本の多くが単眼的なドイツ賛美のものが多い中、これはしっかりとドイツが抱える社会経済問題を解説しており、ためになる。ドイツのことを知るうえでは、まずこれを読むことをお勧めする。
先進国から次は… ★★★★☆
 先進国として突っ走ってきた日本。しかし世の中見渡してみると何だかその歯車が少しずれてきているのでは? 「ニートやパートといった労働者の問題」、「消費税率問題」、「年金問題」、「財政破綻」、「少子高齢化問題」などなど。いままであまり気づかなかった小さな綻びが、次第に大きくなり社会問題化してきています。アメリカ中心のアングロサクソン流の経済が世界を席巻している中、ドイツでは独自のライン型経済を進めてきたのだそうです。本書をよく読むと、日本の進めてきた経済もどちらかというとライン型に近いのでは?それを最近になって急激にアングロサクソン型に転換し始めたのでは??
 第二次世界大戦後に同じく敗戦し、また時同じく自らの技術力で世界の先進国となって経済を牽引してきた両国。その両国にはやはり同じ共通点があったのだと再び認識しました。本書では現在のドイツが陥っているのは、慢性的な「先進国病」とのこと。似通っている日本もやはり「先進国病」にかかっているのか?もしかかっていたら、最後は……。
 明日の日本の姿はこうなってもらいたくないという方、必読です。

 著者は元NHKの職員で、現在はジャーナリストとしてドイツに16年間滞在しています。現地だからわかる生のドイツを客観的にレポートしています。ややデータが多くて読みにくいところもありましたが、逆に信憑性が高く感じられました。
そして日本はどこへ行くのか ★★★★☆
 著者はミュンヘンに暮らして16年のフリージャーナリスト。これまで「住まなきゃわからないドイツ」「びっくり先進国ドイツ」(ともに新潮社)といった比較的軽めの読み物で、ドイツをとりまく話題を伝えてきました。こうした前著を楽しく読ませてもらってきた私にとって、本書は待ち望んでいた最新作といえます。

 ただし本書は新潮選書という少々硬めの刊行物の一冊ということもあり、至って本格的ジャーナリスティックな内容と書きっぷりです。

 アメリカの突き抜けたかのような純粋資本主義的システムとは異なり、ドイツの経済は本書によれば「社会的市場経済」、つまり市民の社会的安定を保障するために、政府が経済政策や社会政策を調整するというものです。

 これまでの日本の経済政策にも大なり小なり通じるものを持つそのドイツ経済には、確かに社会的弱者を取りこぼすことがないようにというプラスの面がありましたが、本書を読むと近年はマイナス面がますます目立ってきているようです。たとえば欧州市場の統合によって近隣諸国と比較すると労働コストの高さが際立ち、一方で手厚い社会保障制度にあぐらをかく国民がいる、といった現状が綴られます。

 ではどうしたらこの状況から抜け出すことができるのか、といった方策については、技術革新によって高い生産性を維持し、高付加価値の製品を作って労働コストの安い海外との競争に勝つ、技術革新をもたらすだけの国民を作るために教育制度の改革を目指す、といった具合で、まさに日本にとってドイツは対岸の火事ではありません。

 ただし、教育制度改革や技術革新というのは一朝一夕で達成できることではなく、本書に描かれたドイツの山積する課題を読むにつけ、暗澹たる思いにとらわれるばかり。安倍新政権発足後、社会的安定という側面で日本はどこへ向かうのか、それを気にしながらの読書でした。
この国の姿 ドイツと日本 ★★★★★
熊谷徹著「ドイツ病に学べ」を読んだ。20世紀後半、経済の優等生といわれたドイツと日本。世界のものづくり大国でもある。80年代末から、双方ともおかしくなり始めた。日本はバブル。ドイツは東ドイツの合併。90年代では、ドイツの経営者は「日本病はいつ治るか」と問いただしたそうだ。
今は、ドイツ病のほうが深刻になりつつあるようだ。もっとも両国の病は先になり、後になり、進行していると言う理解が正しいだろう。
両者に特徴的なのは「甘い病」だ。糖尿病と似ている。税金、労働コストの高さと国際競争力の低下。特に教育水準の低下であろう。国家に依存するこころがリスクや変化を嫌う態度を生み、ハングリー精神を奪うと筆者は指摘する。それは、そのまま、わが国にもいえよう。名車メルセデス・ベンツはドイツ国民の評価は30位以下という。相次ぐ、電気・電子系の故障、リコールが相次いでいるようだ。誰しも子供のころ夢に見た、模型会社メルクリンも危ないようだ。
EUの拡大は企業が安い人件費を求めて、遊牧体質になり、ポーランドや、チェコ、あるいはバルト諸国に工場を建設する状況になっているようだ。2年から、4年で変わる、新聞・放送の特派員と違って、ヨーロッパ社会に根を下ろし、16年も定点観測をしている著者の筆致は鋭い。国の病は国民の精神の病にある。「甘い病」は一般に不治である。ただ、
糖尿病と同様、どう付き合うかがポイントだろう。

ドイツ社会の全体像 ★★★★★
 ミュンヘン在住の著者が、ドイツの社会・経済体制(状況)について、豊富なデータをもとに概説してくれている良書です。
 10%を超える失業率、特異な雇用慣行、19%の高率な消費税、年金制度の危機、旧東ドイツの惨状等を赤裸々に描いています。
 日本でドイツのことを紹介している本は、「リサイクル先進国」、「充実した介護保険制度」、「連邦制の強固な地方自治」等、ドイツの良い部分のみを抜き出して紹介しているものが多かったと思います。それに対し、この本はドイツ社会の現状を全体的にとらえつつ、日本が将来経験しそうな(している)問題に対して示唆を与えてくれています。
 価格も良心的であり、ドイツに関心のある方には、ぜひ一読をお勧めします。