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昭和の動乱〈上〉 (中公文庫BIBLIO20世紀)

価格: ¥940
カテゴリ: 文庫
ブランド: 中央公論新社
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貴重な資料である事には間違いない ★★★★★
当時の外交官であり、常に国家の中枢にいた著者だからこそ知りえた事実が書かれており、とても参考になりました。
日本の対中国政策や二・二六事件の秘話、弱体化する政党政治体制などが段階をおいて書いてあり、読みやすかったです。
ですが、ところどころに『自分は悪くなかった。ただ、あいつ等が暴走した』という趣旨の自己弁護が前後に書いてあるのは注意して読むべきでしょう。
特に後半は軍部への恨み辛みが赤裸々に書かれています。
ですが貴重な裏話、日本の政治の裏舞台を知る事ができます。ここまで詳しい資料もそうそうないと思います。ただ、ナチスやイギリスについての知識も少々ないと厳しいものがあります。読んで損はないと思います。
恥知らずの良い見本 ★★☆☆☆
外務省外交史料館に残されている文書や、外交や経済に関する最近の研究と照らし合わせながら読んでみて、唖然とした。かって対立した外交官や官僚の多くが亡き後に書かれたからか、嘘と自己弁護、そして論理のすり替えがかなり多い。なにより、自分が負うべき責任まで軍部に転嫁しているのには驚かされた。

かっての重光の立場とは正反対のことも書かれているので、事実関係を承知している人が読めば、戦後の重光にとって何が不都合だったのかが解るだろう。しかし、近現代史を勉強中の人、あるいはこれから知ろうという人には不向き。文庫版だけに普遍的であろうし、とんでもない間違いを植えつけられる危険がある。

あまりに明晰なだけにあまりに不可解 ★★★★☆
上下巻を通じて非常に明快な論理でまとめられた、敗戦までの昭和通史だと思う。今読んでも全く古く思えないほど、この著者は明哲な近代的合理主義者だったのだと思う。この著者の思惑はすべて正鵠を射ていたわけで、単なる結果論にも、官僚的責任逃れにも収まらない価値を持つ著作だと思う。それだけに解せない。動乱から大東亜戦開戦に至る経緯が。

著者はこの動乱の原因を、政府の無能、軍部の横暴、国民の政治的訓練不足の三つに収斂して説明しているが、特高警察などが活躍した以上、政府の無能はあり得ないのではないか。新聞などマスコミが世論や軍部をあおった形跡も認められるが、動乱期のマスコミは軍部よりも、政府の統制下にあったのではないだろうか。

大正から昭和期にかけての日本経済の逼迫と大陸侵略に至る原因を、第一次大戦以後の帝国主義列強国の保護経済による締め出しと、日系移民排斥などのアメリカカナダでの人種差別に求めるなど、「昭和天皇独白録」に酷似している部分がある。東京裁判の法廷戦術でも決まったものがあったのだろうか。チャーチルの「第二次世界大戦」冒頭ともからめて、興味ある記述だと思う。
著者のゾルゲに関する記述にワクワクさせられたので、今ゾルゲの本を読んでいる。確かにたいしたスパイだ。でもゾルゲにすれば、三国同盟と日米交渉を二股かけてすすめていた日本政府は、無能どころかたいした玉だと思っていたのではないか。ほかにも松岡洋右関連の記述も出色。

昭和の動乱(上)を読んで ★★★★★
戦前外交官として活躍し、戦後は鳩山内閣の外務大臣となった重光葵の回想録。上巻は満州事変から米内内閣の総辞職までを扱っている。重光はこの時期、中国大使、ソ連大使、英国大使として、統制の効かない軍部により満州事変や2.26事件、日中戦争が起こされ、大局観を持たない歴代内閣や重臣などがこれに友好に対処できないことに警鐘を繰り返している。

この回顧録は、重光外交の冷徹な情勢認識と理念との見事な結合を示している。その中でも1941年9月に第2次世界大戦が発生した時に日本がいかに行動すべきかについての重光の分析と判断は今でも圧倒的な迫力で読むものに迫る。