不確定な未来と確固たる信念
★★★☆☆
リストラ請負会社に勤める主人公。人の運命を左右する立場にあり、どんなに恨まれ、なじられ、泣かれても、自らのスタンスを貫き通しやり遂げていく。 不確定な未来において生き抜いていくためには、確固たる信念に基づいて手を抜かずに取り組んでいくしかないのでしょう。
「でもね、やりたい仕事をやっているのなら、ある程度は我慢できると思うのよ。たとえ出世できなくても、きつい労働条件に置かれても、自分自身で納得できる部分はある。自分のやっていることに誇りみたいなものを持つことは出来るんじゃないかな」
もうひとつ深く探求することを期待する
★★★☆☆
人の人生を左右する仕事
そんな重いテーマとは裏腹に今風のノリでオムニバス形式で
どんどんと進んで行くあっというまに読めちゃう作品。
面白いけど、表層的。軽くて楽しいけど、印象に残りづらい。
ドラマ化するにはちょうどいい。
読むからには面白かった以外に何か残したいんです。
残った印象は、アジア料理と彼女の肢体なのは、ちょっと悲しい。
次作に期待。
でも読みやすいから次もよも。
主人公にホレます
★★★★☆
20〜30代を描いた男性作家の作品は、女性目線から見るとあまり魅力的でない男性主人公が多いのですが…。素直に好きですね、この主人公。
「リストラの肩たたき代行者」という設定そのものも興味深いのですが、恋愛ものとして楽しめました。というのもやはり仕事に取り組む主人公のプロフェッショナルな仕事ぶりに惹かれるからでしょう。
リストラ対象となる社員の仕事ぶり、職歴や性格、心理など細かに分析しながら業務を進めるわけですが、その調子で恋人の行動や心の動きの分析もするのだから細かい。とはいっても、陰湿な分析ではありませんよ。優しさに溢れています。
恋愛小説以上に女性の心を見てくれるこの主人公には、ホレます。
リストラのこと、勉強にはなったけれど…
★★★☆☆
リストラを担当する面接官の話。
リストラというものが、社外の会社に委託された場合、どういう手順を踏んで
実際どんなやりとりが行われて自主退職まで持ち込まれるのかが、
よくわかった。いい社会勉強になったと思う。
ただ、文学作品としてどうかという疑問が残る。
シリアスな仕事だし、リストラされる方も大きな葛藤を抱えているだろうと思うが
その深みがない。
各章の終わりには、「え?これで終わり?」という尻切れトンボ感がつきまとう。
もっと深く切り込んでいってもよかったのではないか、それとも
この表面的さで娯楽性を表そうとしているのか…わからない。
なので、☆3つ。
垣根涼介初心者です。
★★★★★
坂口憲二主演のNHK土曜ドラマの原作。
イケメン坂口演じる村上真介のりりしいリストラ面接官っぷりと,
年上彼女(田中美佐子)に見せる甘えん坊ぽい雰囲気の落差が面白くて見ていました。
で,その延長で原作を読んでみたという経緯です。
ドラマと大分雰囲気が違いましたが,小説の方が遙かに面白かったです。
主人公村上真介の職業は「リストラ面接官」という,現実には存在しないと思われるものですが,
面接場面で,対象者に会社を辞める気にさせるまでの追い込み方に気迫があり,
追い込む側と追い込まれる側の掛け合いは,ヘタな刑事ドラマの取調場面よりよほど面白かったです。
プラス,村上と8歳年上の彼女のロマンスも絡めながら話が進むのですが,
こちらは,項ごとに村上の視点と彼女の視点が交替しながら語られており,
最初は,双方,相手に対してやや上から目線であったのが,
つきあいが深まるにつれて相手のしっかりした内面まで見えるようになっていく様子が巧みに描写されています。
彼女が登場する場面では,そうした心理描写の掛け合いのみならず,唐突にエロいセックス描写が時々出てくるので,
電車の中で読むのが恥ずかしかったですが,あれは,この作者の特徴なのでしょうか・・・?
まあ別にいいんですが,この小説の中ではもう少し軽めのエロでよかったのではと思いました。
次作「借金取りの王子」も読んでみます。