イギリスで1991年にスタートし、大ヒットした抱腹絶倒コメディー。1話30分のドラマ中、主人公である正体不明な不思議男ミスター・ビーン（ローワン・アトキンソン）は、かわいがっているテディベア人形に話しかける以外はほとんどしゃべらず、絶妙な表情、独特の身体の動きで笑いを引きずり出す。見た目はいい大人だが、心は子どものままのビーンが繰り出す行動は、恐ろしいほどマイペースで自己中心的。人に迷惑をかけてもまったく反省ナシで、ヤバいことをやらかしてもなんとか切り抜けてしまう。なのになぜか憎めなくてわがままぶりが爽快ですらあるのは、あっけらかんとした邪気のなさゆえ。そんな絶妙なキャラクターが繰り広げるナンセンスな笑いに、とりこになる人は少なくない。イギリスならではのブラックジョークや英国カルチャーのパロディ織り込んだ笑いも魅力のひとつだ。（茂木直美）