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デュエット [DVD]

価格: ¥4,935
カテゴリ: DVD
ブランド: ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル
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かつての3大テノールの共演が、スター歌手3人のそろい踏みの華やかさと祝祭性に重点が置かれていたのに対し、新しい世代の2人のスターテノール、マルセロ・アルバレス(1962年アルゼンチン生まれ)と、サルヴァトーレ・リチートラ(1968年スイス生まれ)が共同作業したこのプロジェクトは、より密接に練られた完成度の高い音楽を聴くことができる。このライヴでの曲目も、いわゆる普通のオペラ・アリアは数曲にとどまり、ほとんどが2人で歌うオリジナル曲である。曲調は、フィリッパ・ジョルダーノやアンドレア・ボチェッリが歌っていた路線に近く、甘くて耳に心地よいスケール大きな歌唱と、ポップなサウンドを融合させたもの。彼らとの違いといえば、この2人が、いま世界のオペラ界でキャリアの頂点を迎えつつある、本物の旬のスターテノールであるということだ。
   2人のテノールのデュエットというと、どちらが高い声を張り上げるかで競いあってしまうのではないかとつい思ってしまうが、この2人にそんな危惧はいらない。「テノールの声の魅力をもっと若い人に知って欲しいし、オペラを近寄りがたいと思っている人に聴いて欲しい」(リチートラ)「歌声を聴いたとたんに、僕たちの声だとわかる独自のスタイルを築き上げたい」(アルバレス)と語っているように、2人は、より多くの人々にテノールの声を満足いくように楽しんでもらえるよう、均整のとれた誠心誠意のハーモニーを作り上げている。過剰に声を張り上げすぎることなく、柔らかくレガートな歌を心がけているので、音楽的にも大変充実感がある。
   アルバレスは、常に全体に気を使い、人なつっこい笑顔でコンサートの雰囲気を盛り上げる。それに対してリチートラは音楽面に最大の注意を払い続ける。そんな対照は、ついドミンゴとパヴァロッティのキャラクターの違いを連想させる。また、古代遺跡の傍らに設置されたステージは、夕暮れ時の空模様とあいまって、とても美しい。当日の観衆の表情も随所でクローズアップされるが、2人のテノールの歌声に陶然と聴き入る姿は印象的である。
   特典映像として、メイキングや記者会見の模様も収められている。「オペラだろうが何だろうが、簡単な歌なんてひとつもない」というアルバレスの言葉を裏付けるように、リハーサルでは、真剣勝負のすさまじい緊張感が伝わってくる。聴き手にとっては肩の凝らない楽しいコンサートでも、舞台裏では本物のアーティストならではのプロ根性が燃えていたことがよく伝わってくる。2003年6月12日、ローマ・コロッセオでのライヴ。(林田直樹)