ピアノのニルス・ラン・ドーキーを中心とするトリオ・モンマルトルは2001年の『カフェ・モンマルトルの眺め』を第1弾に、『ローマの想い出』、『スペイン』とヨーロッパ音楽旅行を続けていた。が、この第4作はバカラック・ナンバーがタイトルになっているように、ヨーロッパとは関係ないようだ。あえてテーマを探すとすれば、女性にちなんだ曲が多いということかな。タイトル曲はダイアナ・クラールがリヴァイバル・ヒットさせたし、ノラ・ジョーンズのヒット曲< 3 >「ドント・ノウ・ホワイ」も取り上げている。さらにはスタンダードにしても、女心を歌った曲が中心だからだ。
オリジナルは3曲。そしてその演奏はというと、リリカルでロマンティック。あくまでもメロディを美しく弾き、リスナーの琴線を刺激する。ニルスはダイナミックな演奏や前衛的な演奏も得意にしているピアニストだが、トリオ・モンマルトルでは貴公子のようなピアノに徹する。そこが女性ファンに支持されている要因のようだ。本作もまた、女性ファンに好まれそうなソフトで柔らかなピアノを聴かせる。(市川正二)