皮肉たっぷりな「Jesus Saves」(「主はホワイト・トラッシュを救いたもう。ベイビー、君のことだよ」とコーラスが歌う)のセクシーな東洋風ギター・フック、ビンビンのベースを細かく分析したりせずとも、スプリングフィールドのソングライターとしての勘が健在であることはすぐに分かる。セルフ・プロデュースによる本作が、ここ数年のあいだ休止状態にあったミュージシャンの耳から生まれてきたという事実に、ひたすら驚くばかりだ。イージービーツによる珠玉の60年代ナンバー「I'll Make You Happy」を世代のかけ橋に変える手際のよさ(誉めすぎか?)は脱帽もの。シニカルな耳の持ち主なら、すべては演技かもと深読みしてしまいそうだ。もし本当に演技なら、かつてテレビ・ドラマのスターだったスプリングフィールドらしい、見事な大芝居ということになる。(Jerry McCulley, Amazon.com)