これは、大人の男性のための紫陽花の本だ
★★★★☆
紫陽花を愛好する人には色々な楽しみ方がある。私のように、ただ数を集めて喜んでいる入門者も居れば、何十年も山野草を楽しんできた人が、盆栽として作りこむものもある。最近では母の日の花鉢の定番ともなってきた紫陽花にも、ハイドランジアだけではなく、各地に伝わるヤマアジサイを作りこんだものが紹介されることも増えてきた。うっとうしい梅雨を、快適に嬉しく過ごすには、紫陽花は、最高の相棒だ。従来の紫陽花の本と言えば、西洋紫陽花、いわゆるハイドランジアが中心で、せっかくの我が国原産の固有の種に日が当たることは無かった。ここにきて、今は亡き山本武臣先生の地道な取り組みが次々に結実しようとしているかのようだ。紫陽花は、1種類の花でも、見る時期によって、まったく別物のように見えることもあるし、花の色も違うこともある。そんな移り気な花の魅力をたっぷりと伝えてくれるのが本書である。