声量のある/なしや、いかにネイティヴなブラックフィールを持っているかよりも、もはや飽和状態のJ-R&Bシーンに飽くまで日本人の女のコとしてのアイデンティティを持ち込んだことが、滴草のアーティストとしても音楽性としても面白いところだ。切な苦しいヴォーカルはレーベルメイトの倉木麻衣とも通じるし、ごく普通、もしかしたらちょっと内省的なぐらいのたたずまいも共通している。
デビューシングル「Don't you wanna see me tonight?」や「CONTROL Your touch」といったダンスオリエンテッドなものから、メロディで聴かせるフォークロック調の「眠れぬ少女」、デジタルロック風な「Boy」まで、多彩ながら声のトーンでアルバムに筋を通している。(石角友香)