イギリスのメディアで「今世紀最後のロックバンド」と評された、カナダ・モントリオール出身の12人編成のバンドによるセカンド・アルバム。全3曲・63分という、ボーカル不在の長尺のトラックは、各所に不吉な印象を与えるボイス・サンプル、かすれた悲しげなバイオリンの音、オルゴール音や時には無音などを散りばめ、寂寥（せきりょう）としたモノトーンの風景を描きながら、静かに淡々と進行していく。そして、トラック<2><3>では、曲が終盤にさしかかるにつれ、ギター、ベース、ドラムはダイナミズムを増してゆき、感動的とすら言える、激しく壮大なクライマックスを創出する。モグワイ、デス・イン・ヴェガスら英国のサイケデリックなポスト・ロック・バンドに通じる、暗さのなかに美しさと力強さを秘めたサウンドだ。（山田次郎）