さらに、大口たたきのフロントマン、フレッド・ダーストは再びバンドの懐を広げようとするかのように、本作では数多くのゲスト・ボーカルをそろえている。ストーン・テンプル・パイロッツのスコット・ウェイランド、ウータン・クランのメソッド・マン、コーンのジョナサン・デイヴィス(実際、この業界でコーンはリンプ・ビズキットを手助けしたことがある)といった顔ぶれだ。
とはいえ、本作のヴァラエティー豊かだがまとまりのある16曲のトラックは、実際には誰の助けも必用としていない。バンドの良き師であるコーンや、ビズキット自身のデビュー盤ほどヘビーではないが、美しいメロディーをもつ魅力的な「Rearranged」ではエバーラストと激しく張り合っている。「Just Like This」もヒップホップとロックの見事な架け橋であり、楽しく一度聴いたら忘れられない「Nookie」(「あの娘とやるためにやったまでさ」と歌う)の歌詞は自らを軽蔑し、オフスプリングの「Self-Esteem」とよく似ている。さらにビズキットは、ロックとヒップ・ホップを楽しく融合させ、薄気味悪いトゥールの得意分野に踏みこんだ「Don't Go Off Wandering」から、モッシュサウンドで哀願する「Show Me What You Got」まで途切れることなく軽々と繰り出す。ジャンル分けするのが難しい本作だが、リスナーのお気に入りには難なくなるだろう。(Katherine Turman, Amazon.com)