1998年のセロニアス・モンク・コンペティションで2位に入賞、一躍注目を集めた新進女性歌手ジェーン・モンハイトの『Never Neverland』、『Come Dream With Me』に続くサード作。
   これまでの2作と違って、曲ごとに趣向を凝らし、さまざまな編成でオーソドックスなジャズ・ヴォーカルからフォーク～クラシック調の歌声まで、多彩な魅力を発揮しているのが話題だ。ロン・カーターを含むコンボをバックに歌っている<5>は伝統的なジャズ・ヴォーカルだが、ほかにイヴァン・リンスやジュディ・コリンズの曲なども取り上げていて、さらにピアノだけをバックに歌うトラックも3曲、ヴィンス・メンドーサ編曲の荘重なオーケストレーションをバックに歌うナンバーもあるといった具合で、ちょっと一言では言い表せない不思議な世界に出合える。かなり欲張ったコンセプトの作品だが、ジェーンの歌声には潤いがあり、発声がナチュラルなので違和感は感じさせない。それにしても、今後、この人はどの方向に進むのだろう。（市川正二）