パンク歌手兼作家の真実とは?
★★★★★
パンク歌手、町田がいかに世間の人に侮られ、粥やうどんをすする生活をしてきたか。作家、町田がいかに不器用で不細工で傷つきやすいか…。そんなことが、ないまぜに、また交互に語られるエッセー集である。
一足しかないへなへな長靴をはく、傷ついたカラスに餌をやる、海外に出かける、CDを出す、こんなことが町田康の広げた大風呂敷ワールドの中で語られる。これはほんと、これは嘘。一概にそう言い切れないエピソードの断片が、軽やかなリズムに乗って描かれている。
個人的には、パンク歌手がいかに侮られているかという部分がとても面白かった。実際に侮られ屈辱を感じた日々があっただろうが、哀愁を感じる暇を与えない。このあたり、愚痴が芸になったという感があって、とても楽しめた。