フランク、フォーレ&ドビュッシー : ヴァイオリン・ソナタ
価格: ¥1,733
歴史的名盤であると同時に、録音から70年あまりを経過した現在においてもこの演奏をに匹敵するCDは数えるほどしかない。近代フランスの3大ヴァイオリンソナタをカップリングしたこのCDは、作曲者と近しい空気を呼吸していた2人の演奏家の競演こそが成し得た、レコード史上の至宝ともいえるだろう。
ティボーはその繊細かつ洗練された感性で20世紀前半を代表するフランス人ヴァイオリニストである。一方コルトーもロマン派からフランス近代に至る数々のレパートリーを華麗な技巧で披露したピアノの巨匠。彼らの個性はここに収められている3曲を演奏するのには打ってつけであった。
いずれの楽曲もある一定の古典的様式美を土台としながらも、流麗な印象主義的要素が馥郁たるフランス風の香りを漂わせており、スケール感や技巧だけではその本質を描写しきれない。しかしこの2人のコラボレーションはいとも簡単にロマンティックで上品な味付けをしつつ、作品の魅力を本質的なところで描ききってしまうのである。(奈良与志雄)